微分の定義とは|差分商・接線・微分できない点・高階導関数
微分は、関数を 1 次式で近似したときの傾きを取り出す操作です。定義は差分商の極限で書かれます。
この極限が存在するとき、 は点 で微分可能であるといい、その値を微分係数といいます。
以下では定義の読み方から始めて、微分できない点の型を並べ、四則と合成の公式を証明し、高階導関数と滑らかさの階層まで扱います。計算例は 1 例ずつ節を分けています。
直観:割線から接線へ
差分商 は、点 と点 を結ぶ直線の傾きです。この直線を割線といいます。
を に近づけると 2 点目が 1 点目に寄っていき、割線は 1 本の直線に近づきます。その極限の位置にある直線が接線です。
したがって は、曲線 の点 における接線の傾きになります。
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<line x1="60" y1="215" x2="410" y2="215" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></line>
<polyline points="80,200 120,178 160,160 200,145 240,132 280,121 320,112 360,105 390,101" fill="none" stroke="#1f1f1f" stroke-width="2"></polyline>
<line x1="160" y1="160" x2="360" y2="105" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></line>
<line x1="160" y1="160" x2="280" y2="121" stroke="#9a9a9a" stroke-width="1"></line>
<line x1="160" y1="160" x2="200" y2="145" stroke="#9a9a9a" stroke-width="1"></line>
<line x1="110" y1="181" x2="250" y2="123" stroke="#d0562a" stroke-width="1.5"></line>
<circle cx="160" cy="160" r="3" fill="#1f1f1f"></circle>
<circle cx="360" cy="105" r="2.5" fill="#9a9a9a"></circle>
<circle cx="280" cy="121" r="2.5" fill="#9a9a9a"></circle>
<circle cx="200" cy="145" r="2.5" fill="#9a9a9a"></circle>
<text x="55" y="26" font-size="11" fill="#1f1f1f">2 点目を近づけると、割線の傾きが接線の傾きに近づく</text>
<text x="286" y="98" font-size="11" fill="#9a9a9a">割線</text>
<text x="252" y="120" font-size="11" fill="#d0562a">接線</text>
<text x="150" y="180" font-size="11" fill="#1f1f1f">a</text>
<text x="55" y="232" font-size="11" fill="#9a9a9a">傾きの極限が微分係数</text>
</svg>接線の方程式は、通る点と傾きから決まります。
差分商を作る
2 点目を近づける
接線の傾きが決まる
同じ定義の別の書き方
と置き換えれば、 は と同じことです。
どちらを使ってもかまいません。 の形は増分を主役にするときに、 の形は 2 点の位置を主役にするときに書きやすくなります。
片側だけの極限を考えることもできます。 の極限を右微分係数、 の極限を左微分係数といいます。両方が存在して一致することが、微分可能であることと同じです。
微分係数が存在するとき、その値は 1 つに定まります。極限の一意性から従うので、別の方法で計算した答えが食い違うことはありません。
1 つの極限が 2 つの異なる値に収束することはない、という極限の基本性質。
1 次近似としての言い換え
微分可能性は、極限記号を表に出さない形にも書き直せます。この形が、そのまま多変数の全微分の定義になります。
定理。 が で微分可能であることは、ある定数 と関数 があって次の 2 つが成り立つことと同値です。
このとき です。
証明:1 次近似との同値性
と定めます。 のとき、次の等式が成り立ちます。
左辺が に収束することと、右辺の差分商が に収束することは、同じ主張の言い換えです。したがって両方向とも従います。
の部分が 1 次近似で、 が誤差です。誤差が より速く に行くこと、これが微分可能という条件の中身です。
「接線が曲線にいちばんよく寄り添う直線である」という言い方も、この評価を指しています。傾きを 以外に取ると、誤差は と同じ速さでしか小さくなりません。
微分は局所的な性質である
微分係数は、点 のいくらでも近くだけで決まります。 の近傍で一致する 2 つの関数は、 で同じ微分係数を持ちます。
したがって「区間全体でどうなっているか」を知らなくても、微分可能かどうかは判定できます。逆に、微分係数の情報だけから離れた場所の値を言い当てることはできません。
微分可能ならば連続
定理。 が で微分可能なら、 は で連続です。
証明:微分可能ならば連続
のとき、値の差を差分商と の積に書き直します。
とすると、右辺は に収束します。したがって となり、 は で連続です。
差分商が有限の値に収束することが効いています。分子だけを見れば に行くのは当たり前ですが、 で割っても暴れない、という条件が連続性より強い制約になっています。
逆は成り立ちません。連続でも微分できない点には、いくつかの型があります。
<svg viewBox="0 0 460 190" width="100%" style="max-width:460px;display:block;margin:0 auto">
<polyline points="30,60 70,120 110,60" fill="none" stroke="#1f1f1f" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="140,60 160,85 172,105 180,120 188,105 200,85 220,60" fill="none" stroke="#1f1f1f" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="270,130 288,118 297,104 300,90 303,76 312,62 330,50" fill="none" stroke="#1f1f1f" stroke-width="1.5"></polyline>
<polyline points="360,50 372,120 382,66 389,110 394,74 397,100 400,88 403,76 406,102 411,70 418,118 430,52" fill="none" stroke="#1f1f1f" stroke-width="1.5"></polyline>
<circle cx="70" cy="120" r="3" fill="#d0562a"></circle>
<circle cx="180" cy="120" r="3" fill="#d0562a"></circle>
<circle cx="300" cy="90" r="3" fill="#d0562a"></circle>
<circle cx="400" cy="88" r="3" fill="#d0562a"></circle>
<text x="55" y="26" font-size="11" fill="#1f1f1f">連続でも微分できない点には、いくつかの型がある</text>
<text x="62" y="168" font-size="11" fill="#9a9a9a">角</text>
<text x="168" y="168" font-size="11" fill="#9a9a9a">尖点</text>
<text x="272" y="168" font-size="11" fill="#9a9a9a">垂直な接線</text>
<text x="388" y="168" font-size="11" fill="#9a9a9a">振動</text>
</svg>計算例:角のある点
は原点で連続ですが、微分可能ではありません。差分商が の符号で変わるからです。
ではこれが 、 では になります。右微分係数が 、左微分係数が で、食い違っています。
両側の極限が存在しないので、原点では微分できません。グラフの上では、傾きが急に切り替わる角として見えます。
計算例:垂直な接線を持つ点
は実数全体で連続です。原点での差分商を計算します。
でこれは に発散します。左右どちらから近づけても同じです。
有限の値に収束しないので、微分可能ではありません。ただし発散の仕方がそろっているため、グラフには垂直な接線が引けます。値が に確定する場合を、無限の微分係数と呼んで区別することもあります。
計算例:尖点
の原点での差分商は次のようになります。
では 、 では に発散します。符号が逆なので、垂直な接線とも違う形になります。
両側から急な傾きで降りてきて、原点で向きが反転します。この形を尖点といいます。
計算例:振動して微分できない点
()、 と定めます。 なので、 は原点で連続です。
差分商を計算すると、 の因子が消えて振動だけが残ります。
でこれは と の間を振動し続け、収束しません。片側からでも極限を持ちません。
角の場合は左右の値が食い違うだけでしたが、こちらは片側ですら値が定まりません。連続なのに微分できない、という状況にも段階があります。
どこでも微分できない連続関数
微分できない点が 1 つだけとは限りません。すべての点で連続でありながら、どの点でも微分可能でない関数が存在します。
ワイエルシュトラス関数がその最初の例です。細かく振動する余弦を無限に重ね合わせて作ります。
なので和は一様収束し、 は連続になります。ところが を十分大きく取ると、どの点でも差分商が振動して収束しません。
「連続な関数はほとんどの点で微分できるはずだ」という直観は、この例で崩れます。
()、 は原点で連続ですが微分可能ではありません。その理由はどれですか。
- 原点で関数の値が定まっていないから
- 差分商が振動して極限を持たないから
- 右微分係数と左微分係数が と で食い違うから
導関数と記法
が区間 の各点で微分可能なとき、 という対応を の導関数といいます。
記法はいくつかあります。 をラグランジュの記法、 をライプニッツの記法といい、ほかに という書き方もあります。
と書く。どの変数で微分したかは文脈に任せる。高階では と書けて短い
と書く。変数が明示されるので、変数変換や連鎖律で取り違えにくい
は分数ではありません。 と という 2 つの量の比を表しているわけではなく、全体で 1 つの記号です。
ただし連鎖律や逆関数の微分では、あたかも約分できるかのような形の公式になります。記法が便利なのはこのためですが、便利さと正しさは別なので、公式は毎回証明に戻って確かめます。
増分と微分
の増分を 、それに対応する の増分を と書きます。
1 次近似の言い換えから、 は と、それより小さい誤差の和に分かれます。この主要部分を と書き、微分といいます。
が実際の変化量、 が接線に沿って測った変化量です。 が小さいほど、この 2 つの差は に比べて無視できるようになります。
変化率としての読み方
差分商 は、区間全体で平均した変化の割合です。その極限である微分係数は、1 点での変化の割合を表します。
位置を時刻の関数と見れば、差分商は平均の速さで、微分係数は瞬間の速さです。「瞬間の速さ」は、それ自体としては測れません。短い時間の平均を取り、時間を縮めた極限として定義するほかにないからです。
微分が「変化率」と呼ばれるのはこの意味です。単位も割り算の形で受け継がれ、位置を時刻で微分すれば長さを時間で割った量になります。
計算例:定義から平方根を微分する
()の導関数を定義から求めます。分子を有理化するのが要点です。
とすれば分母が に近づきます。
でこの値は発散します。 のグラフが原点で垂直な接線を持つことに対応しています。
計算例:定義から逆数を微分する
()の場合は、通分してから約分します。
で になります。定義から計算するときは、差を 1 つの分数にまとめてから を約分する、という手順が共通しています。
計算例:つなぎ目で微分可能になる条件
区分的に定義された関数では、つなぎ目だけ定義に戻って調べます。次の が で微分可能になるように を定めます。
まず連続でなければ微分できません。左からの値が 、右からの値が なので、 が必要です。
次に片側の微分係数をそろえます。左からは の微分で 、右からは直線の傾きで です。
このとき は で微分可能で、 になります。連続性の条件と微分係数の条件を、順に片側ずつ書き下すのが手順です。
条件を 1 つ落とすと壊れます。、 とすれば傾きはそろいますが、つなぎ目で値が飛ぶので連続にすらなりません。
線形性
定理。 が で微分可能、 を定数とすると、 と も で微分可能で、次が成り立ちます。
証明。差分商が最初から線形だからです。
右辺の 2 項がそれぞれ収束するので、和の極限は極限の和になります。定数倍も同じ形で示せます。
微分は線形写像である、という言い方をします。積と商がこの形にならないことが、次の 2 節の内容です。
偶関数と奇関数の導関数
定理。 が微分可能な偶関数なら は奇関数で、微分可能な奇関数なら は偶関数です。
証明。 が偶関数なら が恒等的に成り立ちます。両辺を で微分すると、左辺には連鎖律が効きます。
これは が奇関数だという主張そのものです。奇関数の場合は から同じ計算をすれば、 になります。
と の関係がこの通りになっています。偶関数である の導関数 は奇関数で、奇関数である の導関数 は偶関数です。
対称性を持つ関数では、片側だけ調べれば導関数の全体が分かります。
積の微分
定理。 が で微分可能なら も で微分可能で、次が成り立ちます。
証明:積の微分
差分商の分子に を足して引きます。
は微分可能なので連続で、 となります。第 1 項は に、第 2 項は に収束します。
という形にならない理由も、この変形に見えています。1 つの差を 2 つの差に割り振るときに、片方の関数の値が残るためです。
公式そのものより、足して引く操作を覚えておくほうが応用が利きます。3 つの積でも同じ手順で が出ます。
商の微分
まず逆数の場合を示します。 なら は連続なので、 の近くで です。
とすると右辺は に収束します。
積の微分と組み合わせれば、商の公式が出ます。
分子の順序が入れ替わると符号が変わります。 が分母にあるので、分子は の側だと覚えます。
べき関数の微分
を正の整数とすると です。
証明。二項定理で展開し、 について 2 次以上の項をまとめて と書きます。
は でくくれるので、 は で に収束します。したがって差分商の極限は です。
負の整数乗は商の微分から出ます。 のとき に逆数の公式を使えば となり、同じ形の式になります。
線形性と合わせれば、多項式はすべて機械的に微分できます。
指数が実数の場合
指数が一般の実数 のときは、 で と書き直し、連鎖律を使います。
形は整数のときと同じですが、 という条件が付きます。 が整数でなければ、負の に対して 自体が定まらないからです。
のように負の でも定義できる場合はありますが、それは実数乗としてではなく、3 乗根という別の約束で定めています。公式をそのまま持ち込まず、定義に戻って確かめます。
連鎖律
定理。 が で微分可能、 が で微分可能なら、合成 は で微分可能で、次が成り立ちます。
外側の関数の微分係数を、内側の関数の値のところで取る。この対応がずれやすいので、 の書き方に注意します。
よくある誤った証明
差分商を 2 つに分ける証明がよく見られます。
しかしこれには穴があります。 にいくら近い を取っても となることがあり、そのとき右辺の分母が になります。
が定数関数なら、すべての でこの分母は です。定数でなくても、 のように に近づく零点を無限個持つ関数では同じことが起きます。
結論は正しいのですが、この道筋は証明になっていません。
証明:連鎖律
割り算を最初から避ける形に組み替えます。 と置き、次の関数 を定めます。
が で微分可能だという仮定は、 が で連続だという主張とちょうど同じです。
そして次の等式が、 の場合も含めてすべての で成り立ちます。 では両辺とも になるからです。
を代入し、 として で割ります。
もう で割っていません。 とすると、 の連続性から となり、 の での連続性から です。右の因子は に収束します。
ライプニッツの記法では と書けます。約分しているように見えますが、中身は上の議論であって、約分とは関係ありません。
計算例:連鎖律を重ねて使う
を微分します。外側から順に剥がしていきます。
いちばん外は です。その中身が で、さらにその中身が です。
整理すると次のようになります。
何段重なっても手順は同じです。外側の導関数を中身の値で評価し、内側の導関数を掛けていきます。
対数微分法
積や商が何段も重なった式は、先に対数を取ると楽になります。 のとき、両辺の対数を微分します。
左辺は積が和に、商が差に、べきが係数に変わります。計算のあとで を掛け戻せば が求まります。
この方法は、指数にも変数が入っている式で特に効きます。べき関数の公式も指数関数の公式も、そのままでは使えないからです。
計算例:対数微分法を使う
()を微分します。両辺の対数を取ります。
両辺を で微分します。右辺は積の微分です。
を掛け戻して答えを得ます。
を の形と見ても の形と見ても正しい答えは出ません。指数と底の両方に変数があるときは、対数を経由します。
三角関数の導関数を定義から
の差分商を、加法定理で分解します。
と を使えば、極限は になります。
後者は前者から出ます。 と書き直せば、 の形になり、第 2 の因子が に近づくからです。
も同じ手順で が出ます。商の微分と合わせれば になります。
指数関数と対数関数の導関数
指数関数では、指数法則で をくくり出せます。
から となります。微分しても変わらない関数は、この性質で特徴づけられます。
対数関数も同じ形です。
と置けば になり、極限は です。
計算例:底が e でない指数関数
とし、 を微分します。底を にそろえてから連鎖律を使います。
指数の中身 の導関数は です。
のときだけ となり、微分しても形が変わりません。 が特別扱いされるのは、この係数が になる底だからです。
定義から直接計算しても同じ結論になります。差分商は の形になり、 が効きます。
定義の順序に注意する
いま使った や は、それ自体が証明を要する事実です。そして証明の中身は、 や をどう定義したかで変わります。
を単位円の弧の長さで定めるなら、この極限は面積や弧長の評価から出します。べき級数で定めるなら、項別微分から導関数が直接出るので、この極限は結果の側になります。
順序を意識しないと、証明が循環することがあります。 の極限をロピタルの定理で求める議論がその典型です。ロピタルの定理は を使いますが、その等式を出すのにこの極限が要るからです。
正しい答えが出ることと、証明として通っていることは別です。
を定義から示すとき、途中で必要になる基本の極限はどれですか。
加法定理で分解すると になります。 が要で、 もここから導けます。
計算例:1 次近似で近似値を出す
を見積もります。、 として接線の式に入れます。
とすれば になります。実際の値は で、誤差は ほどです。
誤差が小さいのは、 が より速く に行くからです。 を 分の にすれば、誤差はおよそ 分の になります。
高階導関数
がさらに微分可能なとき、その導関数を または と書き、2 階導関数といいます。同じ手続きを繰り返して 階導関数 を定めます。
2 階導関数はグラフの曲がり方を表します。 の区間では接線が曲線の下側にあり、下に凸になります。
物理では、位置を時間で 1 回微分すると速度、2 回微分すると加速度になります。高階の導関数は、変化のさらに変化を測る量です。
滑らかさの階層
が存在し、しかも連続であるとき、 は 級であるといいます。すべての について が存在するとき、 は 級、または滑らかであるといいます。
が存在する、というだけの条件です。 が連続かどうかについては何も言っていません。
が存在して、しかも連続であるという条件です。前者より真に強く、両者を分ける関数が実際にあります。
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<rect x="60" y="40" width="340" height="192" rx="3" fill="none" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></rect>
<rect x="88" y="64" width="284" height="144" rx="3" fill="none" stroke="#c8c8c8" stroke-width="1"></rect>
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<text x="72" y="58" font-size="11" fill="#1f1f1f">連続</text>
<text x="100" y="82" font-size="11" fill="#1f1f1f">微分できる</text>
<text x="128" y="106" font-size="11" fill="#1f1f1f">導関数も連続</text>
<text x="156" y="130" font-size="11" fill="#1b81e0">何回でも微分できる</text>
<text x="156" y="150" font-size="11" fill="#9a9a9a">多項式・指数関数・三角関数</text>
<text x="128" y="176" font-size="11" fill="#9a9a9a">有限回しか微分できない例</text>
<text x="100" y="200" font-size="11" fill="#9a9a9a">導関数が原点で不連続になる例</text>
<text x="72" y="224" font-size="11" fill="#9a9a9a">絶対値関数(原点に角がある)</text>
</svg>計算例:2 回微分できて 3 回はできない関数
を考えます。 では 、 では です。
原点以外での導関数をまとめると になります。原点では差分商が で に収束するので、 です。
同じ計算を繰り返します。 の導関数は で、原点でも が確かめられます。
ところが は絶対値関数の定数倍なので、原点で微分できません。 は 級ですが、3 回微分することはできません。
指数を上げれば、何回で止まるかを自由に作れます。 は 級で止まります。
計算例:微分できるのに導関数が連続でない
次の関数は、階層の 2 つ目と 3 つ目を分ける例です。
原点での微分係数を定義から計算します。 で押さえられます。
したがって です。原点以外では、積の微分と連鎖律から次のようになります。
第 1 項は で に近づきますが、第 2 項は振動し続けます。 は原点で極限を持たず、連続ではありません。
は至るところ微分可能なのに 級ではない、という状態です。微分可能性と導関数の連続性は、別々に確かめる必要があります。
ライプニッツの公式
積の高階導関数は、二項定理と同じ形にまとまります。
定理。 が 回微分可能なら、次が成り立ちます。
証明:ライプニッツの公式
は積の微分そのものです。 で成り立つとして、両辺を微分します。右辺の各項から 2 つずつ項が生まれます。
の係数を集めると になります。パスカルの規則からこれは に等しく、 の場合の式になります。
二項定理と同じ形になるのは、積の微分が「2 つのうち片方を微分する」という選択を表しているからです。 回のうち何回 を選んだかが、二項係数として現れます。
計算例:ライプニッツの公式を使う
を求めます。 は 3 回目以降の導関数が なので、和は途中で止まります。
二項係数を書き下して整理します。
回まじめに微分すれば同じ答えに着きますが、こちらは を残したまま一度で済みます。片方を多項式に取れるときの定石です。
計算例:三角関数の n 階導関数
を繰り返し微分すると、、、、 と 4 つごとに戻ります。この周期性は、位相をずらす形にまとめられます。
なら で、確かに合っています。帰納法で、微分するたびに位相が 進むことを言えば示せます。
媒介変数表示の微分
、 で曲線が与えられているとき、 は での微分の比になります。
根拠は連鎖律と逆関数の微分です。 なら を の関数として書き直せて、 となります。
となる では、この式は使えません。そこが尖点や垂直な接線になっていることが多く、個別に調べる必要があります。
計算例:サイクロイドの接線
、 の接線の傾きを求めます。 とします。
それぞれ で微分します。
比を取り、半角の形に直します。 と を使います。
では傾きが で、曲線の最高点にあたります。 では傾きが に発散し、そこが尖点になっています。
では なので、公式の適用条件が外れています。実際、その点で曲線は滑らかでありません。











差分商は sinh1 になり、h→0 で −1 と 1 の間を振動します。片側からでも極限がないので、左右の値が食い違う ∣x∣ の場合とは事情が違います。