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不等式がいつでも成り立つ条件?最小値の符号で決まる話

「すべての で 」は、「 の最小値が 以上」と同じことです。

条件の言い換えができれば、あとは増減表を書くだけ。最小値を計算し、その符号を条件にします[1]。

を下げていくと、谷が 軸を割ります。ちょうど触れるところが境目です。

例:4 次式で条件を出す

すべての実数 で となる の範囲を求めます。

はつねに正なので、符号は で決まります。 で最小です。

条件は 、つまり 。最小値だけを見れば足ります。

定数分離という手

文字が か所にまとまるなら、片側へ寄せると見通しがよくなります[2]。

で を考えます。両辺を で割ります。

右辺の最小値以下であれば、すべての で成り立ちます。最小値を求めます。

で最小、値は です。答えは 。

水平線 が破線より下にあれば、曲線をどこでも下回ります。境目が最小値の です。

例:向きが逆の場合

で となる の範囲を求めます。同じように割ります。

今度は右辺の最大値以上であれば足ります。この関数は で最大、値は 。

答えは です。不等号の向きが変わると、見るべきものが最小値から最大値に替わります。

定数分離が使えないとき

文字が か所以上に現れる場合や、割ると符号が変わる場合は使えません。そのときは差の関数のまま調べます。

の符号が定まらない区間で両辺を で割ると、不等号の向きが変わってしまう。割る前に符号を確かめます。

差の関数で進める場合、最小値に文字が残ります。その最小値の符号を条件にする、という手順は変わりません。

定数分離できるとき

文字を片側へ寄せ、残りの関数の最大値か最小値と比べる

できないとき

差の関数のまま増減を調べ、文字を含んだ最小値の符号を条件にする

端の扱い

閉区間なら端の値も候補です。開区間なら極限を調べます[3]。

の条件で、 の様子を確かめずに済ませると誤ります。そこで値が下がっていれば、最小値は内部にありません。

は で 、 でも 。だから内部の極小が最小になります。

すべての実数 で となる の範囲はどれか。

__RESULT__

から で最小です。 なので、 が条件になります。

手順をそろえる

不等式を「」の形に直します。
文字が か所なら、定数分離を試します。
分離できたら、残りの関数の最大値か最小値を求めます。
分離できなければ、差の関数の最小値を文字のまま求めます。
定義域の端と、開区間の極限を確かめます。

不等号が か かで、等号を含むかが変わります。最小値がちょうど になる場合の扱いを、最後に確かめます。

で が成り立つ の範囲はどれか。

__RESULT__

両辺を で割ると です。右辺は で最大値 をとるので、それ以上であれば全体で成り立ちます。

押さえるところ

「つねに成り立つ」は「最小値の符号」に言い換えます。
定数分離できるなら、最大値か最小値との比較になります。
不等号の向きで、見るべきものが入れかわります。
割るときは、割る式の符号を先に確かめます。
開区間では極限を調べ、最小値が内部にあるかを確認します。

条件の言い換えができた時点で、問題は増減表の計算に変わります。むずかしいのは、言い換えの一歩目だけです。

参考文献

Derivatives and the Shape of a Graph - Calculus Volume 1, OpenStax
Extremwert - Wikipedia(ドイツ語)
Applied Optimization Problems - Calculus Volume 1, OpenStax
「すべての $x$ で $f(x) \ge 0$」は「最小値が $0$ 以上」と同じ。$x^4-4x+a$ の谷が $x$ 軸を割るかどうかを $a$ を動かして見ると、境目が $a=3$ だと分かります。文字が 1 か所なら定数分離して $a \le e^x/x$ の形にし、最小値と比べるだけ。不等号の向きで最大値と最小値が入れかわること、開区間では極限を確かめることも書きました。