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公式は 8 つで足りる、数学Ⅲの微分公式一覧と証明

数学Ⅲ で出てくる微分の公式は、基本の つと組み立ての つに分かれます。

基本の つは 、、、、、、、。組み立ての つは積、商、合成です。

このうち独立に覚える必要があるのは、実は つだけ。残りは組み立ての規則から出てきます[2]。

基本の 8 つ

関数導関数
x^αα x^(α-1)
sin xcos x
cos x-sin x
tan x1 / cos²x
e^xe^x
a^xa^x log a
log x1 / x
log_a x1 / (x log a)

は実数なら何でもかまいません。 も も、この 本で片づきます。

組み立ての 3 つ

和と定数倍はそのまま分配できます。、 です。

これで全部です。あとはどの規則をどの順で当てるかだけになります。

4 つから 8 つが出る

は なので、商の規則から出ます。

は と書き直せます。合成の規則で内側の微分 が掛かる。

は底の変換で になり、定数倍の規則だけで済みます。

も と書けば合成から出ます。 です。

も の合成として出ます。覚える側は つに絞れます。

積の規則がどこから来るか

定義式に戻ります[4]。鍵は、分子に を足して引くことです[1]。

で なので、 が残ります。

足して引く操作で、 だけが動く項と だけが動く項に割れる。 項になる理由がここにあります。

商は積と合成から作れる

商の規則を独立に覚える必要はありません。先に を微分します。

なので、合成の規則で です。

積の規則を当てて通分しただけ。符号が引き算になるのは、 の微分に が出るためです。

商の公式で分子の順を逆にすると、符号が反対 になります。

であって ではない。微分するほうを先に書く、と覚える。

合成は分数として見る

、 と置くと、差分商を つに割れます[3]。

のとき なので、右辺は へ行きます。

分数の約分のように見えますが、 や は数ではありません。それでも形は約分と同じに書けます。

逆関数の微分

の逆関数を微分するときも、同じ分数の見方が使えます。

を から出すと、 なので です。

指数関数の微分から対数関数の微分が出ました。覚える つのうち、 も から作れることになります。

例:商と積が重なる形

を微分します。外側が商、分子が積です。

分子の微分は 。分母の微分は 。

でくくれます。外側の規則から先に決め、中身を後から埋める順で書くと迷いません。

例:合成が 2 段になる形

を微分します。外側が根号、内側が です。

外側を微分して内側をそのまま代入し、内側の微分を掛ける。 段でも 段でも手順は同じです。

例:対数の中に関数が入る形

なら、外側が 、内側が です。

内側の微分を掛け忘れると で止まります。合成でいちばん多い誤りがこれです。

なら 段です。、、 を順に掛けて になります。

外側の関数を先に決める。
外側の公式を当て、内側はそのまま書く。
内側の微分を掛ける。
内側がさらに合成なら、同じ手順を繰り返す。

の導関数はどれですか。ただし 、 とする。

__RESULT__

と書き直すと、合成の規則から内側の微分 が掛かります。 は の公式を当ててしまった形で、指数に がある関数には使えません。

底が のときだけ になり、係数が消えます。 が特別なのはこの点です。

を微分するとき、いちばん短い道はどれですか。

  • 商の公式を当てる
  • と見て合成の公式を当てる
  • 定義に戻って通分する
__RESULT__

で終わります。商の公式でも同じ値になりますが、分子が定数なので の項を書く手間が増えます。分子が定数の分数は、負の指数に直すほうが速い。

基本を つ覚え、規則を つ当てる。数学Ⅲ の微分公式は、この形に整理できます。

参考

Differentiation Rules. Calculus Volume 1, OpenStax.
Derivatives of Exponential and Logarithmic Functions. Calculus Volume 1, OpenStax.
The Chain Rule. Calculus Volume 1, OpenStax.
Derivative. Encyclopedia of Mathematics.
基本の公式が $8$ つ、組み立ての規則が積・商・合成の $3$ つ。この $11$ 個で数学Ⅲ の微分は全部まかなえます。しかも独立に覚える必要があるのは $4$ つだけで、$\tan x$ は商から、$a^x$ は $e^{x\log a}$ の合成から、$\log_a x$ は底の変換から出る。商の公式も $g^{-1}$ の微分に積の規則を当てれば作れます。積の証明で $f(x)g(x+h)$ を足して引く理由、合成を $\frac{\Delta y}{\Delta u}\cdot\frac{\Delta u}{\Delta x}$ と割る理由、逆関数から $\log x$ の微分が出る筋道まで。