f(x+y)=f(x)+f(y) のように、関数そのものを未知数とする方程式があります。関数方程式です[1]。
解き方の道具は 2 つ。特別な値を代入することと、微分の定義に持ち込むこと。
4 つの型があります[1]。左の演算の組み合わせで、答えの関数が決まる。
和を和へ移すのが 1 次関数、和を積へ移すのが指数関数。積を和へ移すのが対数関数で、積を積へ移すのがべき関数です。
手順 1:特別な値を代入する
x=y=0 や x=y=1 を入れると、f(0) や f(1) の値が決まります。
f(x+y)=f(x)+f(y) に x=y=0 を入れます。
f(0)=2f(0),f(0)=0
f(x+y)=f(x)f(y) なら f(0)={f(0)}2 なので、f(0) は 0 か 1。f(0)=0 だと f がつねに 0 になるので、それを除けば f(0)=1 です。
f(xy)=f(x)+f(y) には x=y=1 を入れます。f(1)=0 が出ます。
手順 2:微分の定義に持ち込む
f(x+h) を、関数方程式で f(x) と f(h) に分けます。差の商が、きれいな形になります。
加法型で書きます。f(x+h)−f(x)=f(h) です。
f′(x)=h→0limhf(h)=h→0limhf(h)−f(0)=f′(0)
導関数が定数になりました。f′(0)=c とおけば f(x)=cx+d で、f(0)=0 から d=0。
例:加法型を解く
f(x+y)=f(x)+f(y) かつ f′(0)=2 とします。
上の計算から f′(x)=2 です。積分すると f(x)=2x+d、f(0)=0 より d=0。
f(x)=2x
代入で f(0) を出し、微分の定義で f′ を出し、そこから f を復元する。この 3 段が基本の流れです。
例:指数型を解く
f(x+y)=f(x)f(y) かつ f′(0)=3 とします。f(0)=1 でした。
f′(x)=h→0limhf(x)f(h)−f(x)=f(x)h→0limhf(h)−f(0)=3f(x)
f′=3f という関係が出ました。ff′=3 の両辺を積分すると log∣f∣=3x+d。
f(0)=1 から d=0、したがって f(x)=e3x です[2]。
2 本の棒の高さの比が、位置によらず一定です。f(x+a)=f(x)f(a) を、図にしたものになります。
例:対数型を解く
f(xy)=f(x)+f(y) かつ f′(1)=1 とします。定義域は x>0。
f(x+h)=f{x(1+xh)}=f(x)+f(1+xh) と分けます。
f′(x)=h→0limx1⋅h/xf(1+xh)−f(1)=xf′(1)
f′(x)=x1 です。積分すると f(x)=logx+d、f(1)=0 から d=0。
f(x)=logx
例:べき型を解く
f(xy)=f(x)f(y) かつ f′(1)=3 とします。f(1)=1 です。
同じように分けると f′(x)=xf(x)f′(1)。ff′=x3 となります。
積分して logf=3logx、つまり f(x)=x3 です[3]。
f(x+y)=f(x)f(y) を満たす関数について、f(0) の値はどれか。
__RESULT__
x=y=0 を入れると f(0)={f(0)}2 です。解は 0 と 1 の 2 つ。f(0)=0 の場合は f がつねに 0 になります。
仮定が要る理由
微分できることを仮定しないと、話が変わります。連続でも微分できなくてもよい、とすると、素直でない解が存在してしまう[1]。
高校の問題では「微分可能」「連続」といった条件が必ず付いています。その一文が、答えを 1 つに絞る役目を持っている。
条件を使わずに答えを書くと、論理が飛びます。どこで微分可能性を使ったかを、答案に示す必要があります。
代入で試す値
y=−x または y=x1。逆元の関係が出ます。
y=x。f(2x) と f(x) の関係が出ます。
x を固定して y だけ動かす。微分の形に持ち込む前段です。
代入は、値をひとつずつ確定させる作業です。f(0) や f(1) が決まると、あとの積分定数が決まります。
f(xy)=f(x)+f(y)、f′(1)=2 を満たす関数はどれか。
__RESULT__
積を和に移すので対数型です。f′(x)=xf′(1)=x2 となり、積分して f(x)=2logx。f(1)=0 から定数は 0 です。
押さえるところ
まず特別な値を代入し、f(0) か f(1) を決めます。
f(x+h) を関数方程式で分け、微分の定義に持ち込みます。
出てきた f′ の式を積分し、定数を代入で決めます。
微分可能性や連続性の仮定を、どこで使ったかを書きます。
3 段の流れが決まっているので、型さえ見分けられれば手が動きます。演算がどう移るかを、最初に確かめます。
参考文献
和を和へ移すなら 1 次関数、和を積へ移すなら指数関数。演算の組み合わせで型が 4 つに分かれます。まず $x=y=0$ などを代入して $f(0)$ を決め、$f(x+h)$ を方程式で分けて微分の定義へ持ち込む。$f'=3f$ のような関係が出たら積分するだけです。$e^x$ の高さの比が位置によらない図もつけました。仮定をどこで使うかまで。
x=y=0 を入れると f(0)={f(0)}2 です。解は 0 と 1 の 2 つ。f(0)=0 の場合は f がつねに 0 になります。