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解けない漸化式の極限 - 平均値の定理で差を縮める

の形の漸化式は、一般項が求まらないことがほとんどです。それでも極限だけなら言えます。

道具は平均値の定理です[1]。 回進むごとに、目標との差が何倍になるかを押さえます。

階段を上がるように、点が へ寄っていきます。曲線と直線 の交点が、行き着く先です。

行き先を先に決める

極限があるとすれば、それは を満たす値です。両辺の極限をとれば分かります。

なら、 です。両辺を 乗して解きます。

負の解は候補から外れます。 が正なので、極限も負にはなりません。

この を不動点といいます。 で移しても動かない点、という意味です。

平均値の定理で差を縮める

を書き直します。 なので、 つの値の差の形になります。

平均値の定理から、 と のあいだのある について次が成り立ちます[2]。

となる定数 が見つかれば、差が 倍以下に縮むと言えます。

繰り返して 0 に落とす

同じ評価を 回重ねます。 なら、 が に近づく。

はさみうちの原理から です。一般項を求めずに、極限だけが出ました。

例:√2 に近づく数列

で を探します。導関数を計算します。

なら なので、。

ととれます。差は毎回半分以下になり、 に落ちます。

から始めると、。 回進めば より小さくなる計算です。

棒の高さが差の大きさです。毎回半分になるので、あっという間に見えなくなります。

例:ニュートンの方法

を考えます。不動点は 。

なら は から のあいだ。 になります。

この数列は に近づきます。実際の収束は評価よりずっと速く、桁数が毎回倍ほど増えます。

平方根を手計算で求める古い方法として知られています。式の形は難しくないのに、精度がすぐ上がる。

が に収束するとき、 が満たす式はどれか。

__RESULT__

漸化式の両辺で とします。左辺も右辺も に近づくので、 が出ます。

確かめるべきこと

答案では、次の順に書きます。

不動点 を求めます。 を解きます。
が動く範囲を決めます。帰納法で示すことが多い。
その範囲で となる を見つけます。
平均値の定理で を書きます。
繰り返して の形にし、はさみうちで結論を出します。

番目を飛ばすと、 の評価が使えません。 がどこにいるかを先に押さえる必要があります[3]。

r が 1 以上だとどうなるか

差が縮まないので、この方法では言えません。離れていく場合もあります。

の不動点は と です。 の近くでは なので、少しずれると離れていく。

の近くでは なので寄っていきます。同じ漸化式でも、どの不動点かで様子が変わります。

で が要るのはなぜか。

  • 平均値の定理が使えないから
  • が に近づかないから
  • 不動点が存在しないから
__RESULT__

だと は に落ちません。差の評価が意味を持たなくなり、収束が言えなくなります。

押さえるところ

一般項が出なくても、不動点と差の評価で極限が言えます。
不動点は を解いて求めます。
の上界 を、 の動く範囲の上で探します。
なら差が等比数列で押さえられ、 に落ちます。
範囲を帰納法で先に押さえるところが、答案の要になります。

平均値の定理は、証明の中で使われることのほうが多い定理です。この使い方は、その代表例になります。

参考文献

The Mean Value Theorem - Calculus Volume 1, OpenStax
Mittelwertsatz der Differentialrechnung - Wikipedia(ドイツ語)
Derivatives and the Shape of a Graph - Calculus Volume 1, OpenStax
$x_{n+1} = f(x_n)$ の一般項が出なくても、極限だけなら言えます。行き先は $\alpha = f(\alpha)$ を解いて決め、差を $|x_{n+1}-\alpha| \le r|x_n-\alpha|$ と押さえる。$r<1$ なら等比数列で $0$ に落ちます。$\sqrt{2+x_n}$ が階段を上がるように $2$ へ寄る図と、差が毎回半分になる図をつけました。範囲を先に押さえる手順まで。