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多項式で関数を近づけた先に現れるオイラーの公式

接線は 次式による近似でした。次数を上げていくと、重なる範囲が広がります。

この多項式をマクローリン展開といいます[1]。教科書の範囲を超えますが、近似式の続きとして自然につながる話です。

項を つ足すたびに、青い曲線が黒に寄り添う範囲が広がります。原点の近くから、外へ向かって伸びていく。

係数はどう決まるか

での値、傾き、曲がり方を順にそろえます。 回微分して を代入するだけです[1]。

とおいて 回微分し、 を入れます。

階乗が分母に出るのは、 を 回微分すると が出るためです。

3 つの基本の展開

指数関数と三角関数は、どこまでも続く形で書けます[1]。

は奇数次だけ、 は偶数次だけ。原点についての対称性が、そのまま次数に出ています。

つとも、すべての実数で収束します。剰余項が に近づくためです[1]。

例:近似の精度を見る

を計算します。 項までなら 。

実際の値は です。 項目 を足すと、さらに近づきます。

が小さいほど、少ない項で足ります。 が大きいと、多くの項が要る。

オイラーの公式

の展開で、 を に置きかえます。 は 乗して になる数です[2]。

、、 と つで巡ります。項を実部と虚部に分けます。

括弧の中が、そのまま と の展開になっています。

指数関数と三角関数が、複素数を通してつながりました[2]。

は、単位円の上を角 だけ回った点を表します。 なら の位置[2]。

、、、、 の つが 本の式に並びます。オイラーの等式と呼ばれる形です。

三角関数を指数で書く

を に替えた式と足し引きすると、 と がとり出せます[2]。

加法定理は、指数法則 から出ます。展開して実部と虚部を比べるだけ。

覚える公式が減る、という利点があります。三角関数の複雑な変形が、指数の計算に置きかわる。

で とすると、値はどれか。

__RESULT__

、 です。したがって になります。単位円を 4 分の 1 だけ回った位置です。

近似式とのつながり

数学Ⅲで習う近似式は、この展開の 次までをとり出したものです[3]。

は、 次までの打ち切り。
も同じく 次まで。
は 次まで。
も 次まで。

次数を上げれば精度が上がる、という関係が背景にあります。どこまで足すかを選べる形になっている。

のマクローリン展開に現れる次数はどれか。

  • 奇数次だけ
  • 偶数次だけ
  • すべての次数
__RESULT__

は偶関数なので、奇数次の項が消えます。 という並びになります。

押さえるところ

係数は 。 回微分して代入します。
、、 はすべての実数で収束します。
の展開に を入れると、 と に分かれます。
でオイラーの等式になります。
数学Ⅲの近似式は、この展開の低い次数だけを使った形です。

高校の教科書には出てきませんが、近似式の背景として知っておくと見通しがよくなります。オイラーの公式は、その先にある景色です。

参考文献

Taylor and Maclaurin Series - Calculus Volume 2, OpenStax
Eulersche Formel - Wikipedia(ドイツ語)
Linear Approximations and Differentials - Calculus Volume 1, OpenStax
接線は 1 次の近似でした。項を足すほど $\sin x$ に寄り添う範囲が広がる様子から始めます。係数は $f^{(k)}(0)/k!$ で、$e^x$、$\sin x$、$\cos x$ の展開が出る。$e^x$ の $x$ を $i\theta$ に替えると実部と虚部が $\cos$ と $\sin$ に分かれ、$e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta$ に届きます。教科書の範囲外ですが、近似式の背景として。