グラフが限りなく近づいていく直線を漸近線といいます。近づくだけで、交わるとは限りません。
種類は 3 つです[1]。どこへ近づくかで呼び分けます。
垂直漸近線。x→a で f(x) が限りなく大きくなるとき、直線 x=a。
水平漸近線。x→±∞ で f(x)→b となるとき、直線 y=b。
斜め漸近線。x→±∞ で f(x)−(ax+b)→0 となるとき、直線 y=ax+b。
分数関数では、分母が 0 になる点が垂直漸近線の候補です。分子も同時に 0 なら、約分できて漸近線にならない場合もあります。
斜め漸近線の求め方
2 つの極限を順に計算します[2]。傾きを先に出し、次に切片。
a=x→∞limxf(x),b=x→∞lim{f(x)−ax}
分数関数なら、割り算をしてしまうほうが速い[1]。分子を分母で割り、商と余りに分けます。
x−1x2=x+1+x−11
x→±∞ で最後の項は 0 に近づきます。残る x+1 が斜め漸近線です。
垂直な x=1 と、斜めの y=x+1。この 2 本を先に引いてしまうと、曲線の居場所がほぼ決まります。
例:概形をかく手順
f(x)=x−1x2 で、最初から最後までたどります[1]。
x→1 では分母が 0 に近づき、値が発散します。 f′(x)=(x−1)2x(x−2) から、x=0 で極大、x=2 で極小。 f′′(x)=(x−1)32 から、x>1 で下に凸、x<1 で上に凸。
極大値が 0、極小値が 4 です。極小のほうが大きいのは、定義域が x=1 で切れているためです。
変曲点はありません。f′′(x) は 0 にならず、符号が変わるのは定義域の外だけ。
漸近線への近づき方
差の項 x−11 が、そのままずれの大きさです。x が大きくなるほど、この値は小さくなります。
赤い縦線が、曲線と直線のへだたりです。右へ進むほど短くなりますが、0 にはなりません。
例:y=x+x1
xx2+1 を割ると、この形になります。斜め漸近線は y=x、垂直漸近線は y 軸。
f′(x)=1−x21 から、x=±1 が候補です。x=1 で極小値 2、x=−1 で極大値 −2。
f′′(x)=x32 なので、x>0 で下に凸、x<0 で上に凸です。原点について対称な形になります。
f(x)=x+12x2−3 の斜め漸近線はどれか。
__RESULT__
分子を分母で割ると 2x−2−x+11 になります。最後の項が 0 に近づくので、残る 2x−2 が漸近線です。
例:水平漸近線を持つ形
f(x)=xe−x を調べます。x→∞ では指数の減り方が勝ち、f(x)→0。
f′(x)=(1−x)e−x,f′′(x)=(x−2)e−x
x=1 で極大値 e1、x=2 が変曲点です。x→−∞ では負の側へ限りなく落ちます。
山を越えたあと、グラフは x 軸に貼りつくように下がります。極大と変曲点の位置が近いので、頂上のすぐ右で曲がり方が変わる。
手順をまとめる
概形をかく手順は 6 つです[1]。上から順に埋めていきます。
x→±∞ の様子から、水平か斜めの漸近線を出します。 f′(x) の符号から増減と極値を出します[3]。
漸近線を先に引くのがこつです。曲線の通り道が限られるので、あとの増減と凹凸が図の上で確かめられます。
f(x)=x−23x の漸近線の組はどれか。
- x=0 と y=3
- x=2 と y=3
- x=2 と y=x
__RESULT__
分母が 0 になる x=2 が垂直漸近線です。x→±∞ では分子と分母の次数が同じなので、係数の比 3 に近づきます。
つまずきやすいところ
分母が 0 でも、分子も同時に 0 なら約分できます。漸近線にならない場合があります。
漸近線と曲線が交わることはあります。交わらないのは垂直漸近線だけ。
次数の差が 2 以上あると、斜め漸近線は現れません。放物線のように広がります。
x→∞ と x→−∞ で、別々の水平漸近線を持つ関数もあります。
極値の候補と漸近線を混同しないよう、定義域の切れ目に印を付けておきます。
漸近線、増減、凹凸。この 3 つがそろえば、細かい値を計算しなくてもグラフの姿は決まります。
参考文献
垂直、水平、斜めの 3 種類の漸近線を先に引くと、曲線の居場所がほぼ決まります。$x^2/(x-1)$ を $x+1+1/(x-1)$ と割って斜め漸近線を出し、ずれが縮んでいく様子を動かして確かめます。$x + 1/x$ と $xe^{-x}$ も同じ 6 手順でたどる。分子と分母が同時に $0$ になる場合や、漸近線と曲線が交わる場合の扱いも書きました。
分子を分母で割ると 2x−2−x+11 になります。最後の項が 0 に近づくので、残る 2x−2 が漸近線です。