円の伸開線|巻きつけた糸をほどくと、その先が曲線を描く
円に巻きつけた糸を、ぴんと張ったままほどきます。糸の先が描く道が円の伸開線です[1]。
は、糸が円から離れる点の角です。ほどいた糸の長さは弧の長さ に等しく、それが式の中の に現れます。
赤い弧がほどいたぶん、青い直線がぴんと張った糸です。 つの長さはいつでも等しい。
糸は円に接したまま動きます。離れる点が円周を進み、先端が外へ広がっていく形です。
微分すると向きが見える
で微分します。項が打ち消し合って、短い式になります。
速度の向きは です。これは中心から接点へ向かう向きと同じ[2]。
接線の傾きは割り算で出ます。
糸と接線は直角に交わる
先端から接点へ向かうベクトルを計算します。
速度の向き との内積は です。
つは直角に交わります。つまり糸そのものが、伸開線の法線になっている[3]。

青い糸と赤い接線が直角になっています。糸は円の接線でもあるので、 本の線が つの役目を持つ形です。
尖点は 1 か所だけ
では と が同時に になります。速度が消えるので、そこが尖点です。
点の位置は で、糸をほどきはじめる場所。糸の長さが の状態にあたります。
では なので、速度が になることはありません。尖点はこの か所だけです。
円の伸開線 、 の接線の傾きはどれか。
曲線の長さ
速さは です。 に比例して速くなります。
から までの長さを積分すると、 になります[1]。
の 乗で伸びるので、 周目より 周目のほうがずっと長い。ほどくほど糸が長くなるためです。
原点からの距離
先端の位置ベクトルの大きさを計算します。
展開すると交差する項が消え、 だけが残ります。
半径 と糸の長さ が直角に組み合わさった形です。三平方の定理が、そのまま出ています。
円の伸開線で、糸と伸開線の接線の関係はどれか。
- 平行になる
- 直角に交わる
- 一致する
速度の向きは 、糸の向きは です。内積が なので直角。糸そのものが法線になっています。
歯車の形に使われる
歯車の歯の形に、この曲線が使われています。かみ合う 枚の歯車で、接触する点が動いても力の向きが変わらない性質があるためです。
軸の距離が多少ずれても、回転の伝わり方が変わりません。組み立ての誤差に強い形として選ばれています。
糸をほどく話と機械の設計が、同じ曲線でつながっている。媒介変数表示が現実の形を作っている例です。
押さえるところ
計算そのものは短く、打ち消し合いを見届ければ終わります。糸の絵を思い浮かべながら式を追うと、どの項が何を表しているかが見えてきます。












dθdx=aθcosθ、dθdy=aθsinθ です。割ると aθ が約分され、tanθ が残ります。