「どこかで平均と一致する」平均値の定理とロルの定理
区間の両端を結ぶ直線と、同じ傾きの接線が、途中に必ずあります。これが平均値の定理です[1]。
が で連続、 で微分できるとき、次を満たす が少なくとも つ存在します。
右辺は区間全体の平均変化率です。どこかの 点で、瞬間の変化率がその平均に一致する[2]。
接点を左から右へ動かすと、傾きが灰色の直線と一致する瞬間が来ます。この曲線では 回そろう。
定理が言うのは「少なくとも つある」ということだけです。 つでも つでも、主張と矛盾しません。
ロルの定理
両端の値が等しい場合が、ロルの定理です[1]。 なら平均変化率が になります。
行って戻ってくるなら、途中で必ず折り返す。折り返す点では接線が水平になります。
平均値の定理は、この主張を傾いた場合まで広げたものです。ロルの定理のほうが先にあり、そこから一般の形が導かれます。
仮定を外すと成り立たない
を で考えます[1]。 なので、両端の値は等しい。
ところが となる はありません。傾きは か のどちらかで、 になる場所がない。
原点で微分できないことが原因です。仮定の「区間の内部で微分できる」が効いていることが、この例から見えます。

角のある点では、左からの傾きと右からの傾きが違います。微分できる関数だけを相手にする、という仮定はここで効いています。
例:平方根で を求める
を で考えます[1]。両端を結ぶ直線の傾きは 。
をこれと等しくおきます。
は区間の内部にあります。定理が保証したとおり、条件を満たす点が見つかりました。
証明は補助関数で
平均値の定理は、ロルの定理に持ち込んで示します[2]。曲線から両端を結ぶ直線を引いた差を考える。
こうすると になります。両端の値がそろうので、ロルの定理が使える。

青い曲線が差を表します。両端が同じ高さになり、ロルの定理の形に持ち込めました。
を書き直すと、そのまま平均値の定理の式になります。証明はここで終わり。
3 つの系
平均値の定理から、次の つがすぐ出ます[1]。どれも当たり前に見えて、証明には定理が要ります。
番目は増減表の根拠です。導関数の符号から関数の増減を言えるのは、平均値の定理があるため。
番目は積分で効きます。原始関数が定数の差しかない、という事実がここから出ます。
例:不等式を証明する
で を示します。 に で平均値の定理を当てます。
です。 なので となり、 を掛ければ 。
同じやり方で も示せます。 として とし、 を使います。
に で平均値の定理を当てたとき、 の値はどれか。
つまずきやすいところ
平均値の定理は、単独の計算問題として出ることもあれば、増減や不等式の証明を支える土台として使われることもあります。名前を出さずに使っている場面のほうが、実際には多い。












両端を結ぶ直線の傾きは 3−19−1=4 です。f′(x)=2x を 4 とおくと c=2 になり、区間の内部に入っています。