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ロピタルの定理はいつ使えるのか?条件を外すと出る誤り

や の形の極限で、分子と分母を別々に微分して比べる方法があります[1]。

ロピタルの定理です。あてられる形が決まっていて、そこを外すと答えがずれます。

分子も分母も、原点に近づくと になります。それでも比のほうは に寄っていく。

例 1:2 回続けてあてる

を計算します。代入すると の形。

分子と分母をそれぞれ微分する。

まだ のままなので、もう一度あてます。

不定形が消えるまで、繰り返し使えます[1]。1 回ごとに形を見直してから次へ進む。

使うための条件

3 つがそろってはじめて使えます[1]。

か の形になっていること。
分母の導関数が、その近くで にならないこと。
の極限が存在すること。

1 番目を確かめないままあてる誤りが最も多い[2]。不定形でない式にあてると、まったく違う値になります。

例 2:不定形でない式にあてる

を考えます。代入すれば です。

ここで分子と分母を微分すると で、 を入れると 。代入して求めた とずれます。

もとの式は不定形でないため、定理の対象から外れていました[1]。形を見る一手を飛ばすと、そのまま微分へ進んでしまう。

ロピタルの定理をあてる前に、まず確かめるのはどれか。

  • 分母が でないこと
  • か の形であること
  • 関数が連続であること
__RESULT__

不定形でない式にあてると、違う値になります。 の が、その例です。

傾きの比として読む

と は、原点での傾きがどちらも 。比のほうも に近づきます。

分子と分母を別々に微分する操作は、2 つの曲線をその接線に置きかえることにあたる。

例 3: を で割る

も です。

1 回あてた がまだ だから、もう 1 回あてて 2 回で終わります。

半角の公式で と書きかえても、同じ値にたどり着く。

かっこの中は へ向かうため、全体は 。

例 4:3 回あてる

は、3 回で不定形が消えます[3]。

分母の次数が 、、 と下がります。分子のほうも 、、 と、原点での値が のまま続く。

2 回目の は から と読めます。そこで止めても同じ値。

例 5:無限大どうしの比

は の形です。

微分すると になり、 に近づく。

分子が なら 10 回使うことになります。あてるたびに次数が ずつ下がり、最後は定数と の比。

例 6:対数と 1 次式

も です[2]。

微分した分子が で、分母のほうは 。1 回で が消えます。

例 7: を分数に直す

は と の積で、分数の形になっていません。このままではあてられない[1]。

を分母に置くと に変わります。

のほうを分母へ送ると になり、微分が込み入ります。 を分子に残す向きを選ぶ。

この極限から の行き先も決まる。 と書けば、指数が へ向かい、全体は に近づきます[2]。

例 8: を分数に直す

は差の形で、分子も分母もありません。

と置くと、 は に変わります。 だから で、式は次の形になる。

で です。分母の を微分すると になるため、分子の導関数がそのまま残ります。

分子を有理化しても同じ値。 の分母と分子を で割ると になり、 にたどり着きます。

例 9:1 回で不定形が消える

は です。1 回あてると になります。

分子は へ、分母は へ向かう。不定形ではないため、使えるのは 1 回だけです。 なら 、 なら で、両側の極限はない。

形を見ずにもう一度あてると になり、 という値が現れます。もとの式は に近づかないため、この は誤りです。

商の微分とは別物

は、商の微分公式の とは別の式です。

ロピタルの定理は分子と分母をそれぞれ微分して、新しい分数を作る。もとの関数を微分した式ではありません。

で見比べると、商の微分は 、あてた形は 。式そのものが違います。

にロピタルの定理をあてると、どうなるか。

  • になる
  • になる
  • 使えない
__RESULT__

の形だから条件は満たします。分子と分母を微分すると で、 の極限は です。

使えない例

を考えます。 の形。

微分すると になり、この極限は存在しません。 と のあいだで振動するためです。

ところが、もとの式の極限は 。 から分かります。

条件の 3 番目が崩れると、定理は何も言いません[2]。使えないだけで、極限がないことにはならない。

整理

不定形かどうかをまず確かめます。
が続くなら、繰り返し使えます。
の極限が存在しないときは、何も言えません。
や は、分数の形に直してから使います。

あてられる形は と の 2 つで、ほかの不定形は、そのどちらかへ書き直してから使います。

参考

L'Hôpital's Rule - Calculus Volume 1, OpenStax
Robert Haller-Dintelmann. *Skript zur Vorlesung Analysis I*, 24. Die Regeln von de l'Hospital. TU Darmstadt.
Arnaud Bodin, Niels Borne, Laura Desideri. *Dérivée d'une fonction*, 4.4 Règle de l'Hospital. Exo7.
分子と分母を別々に微分してよいのは、$0/0$ か $\infty/\infty$ の形のときだけ。$(e^x-1-x)/x^2$ が $0.5$ へ寄る様子を動かして確かめ、$(1-\cos x)/x^2$ や $(x-\sin x)/x^3$ のように繰り返しあてる例を並べました。$x\log x$ と $\sqrt{x^2+x}-x$ は、分数に直してから使う。不定形でない $(x^2+1)/(x+1)$ にあてると答えがずれ、$\sin x/x^2$ では 1 回で不定形が消えます。$(x+\sin x)/x$ は、微分した側の極限がなくなって定理が何も言わなくなる例。