次元定理(rank-nullity theorem)

次元定理は、線形写像の核と像の次元の関係を述べる定理である。rank-nullity theorem とも呼ばれ、線形代数の基本定理の一つである。

次元定理の主張

を有限次元ベクトル空間、 を線形写像とする。このとき次が成り立つ。

言い換えると、定義域の次元は退化次数と階数の和に等しい。

行列の場合

行列とし、 で定まる線形写像を考える。次元定理は次のように表せる。

ここで は同次方程式 の解空間であり、その次元は自由度(自由変数の個数)に等しい。 の階数(ピボットの個数)である。

たとえば、 行列でランクが 2 ならば、核の次元は となる。

定理の証明の概略

の基底を とする。これを の基底に拡張して とする。

の基底になることを示せばよい。任意の と表せるから

となり、 を生成する。一次独立性も確かめられる。よって であり、 が成り立つ。

応用

次元定理からいくつかの重要な結論が導かれる。

単射の条件

が単射なら だから となる。つまり単射なら次元が保たれる。

全射の条件

が全射なら である。次元定理より が必要となる。

同型の条件

が全単射(同型写像)なら である。逆に、 のとき、単射と全射は同値になる。

連立方程式 の解の個数を調べる際にも、次元定理は本質的な役割を果たす。