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部分空間の基底と次元を求める問題、生成系から絞り込む

基底を求める道は 2 本あります。生成系が与えられていれば余分なものを落とし、方程式で書かれていれば解いて一般形に直す[1]

どちらでも、出てきた本数がそのまま次元になります。基底の本数は選び方によりません。

以下 11 問。生成系から絞る形、方程式から作る形、行列の列空間と核、多項式や行列の空間まで扱います。

2 つの道

生成系から落とす場合は、列に並べて掃き出します。段ができた列に対応するもとのベクトルが基底になる[2]

方程式から作る場合は、自由に動ける変数を選び、それぞれを にした解を並べます。自由変数の個数が次元です。

問題 1

次のベクトルが生成する部分空間の基底と次元を求めてください。

なので、 を落としても張る範囲は変わりません。

は比例していないので一次独立。基底は で、次元は です。

問題 2

の基底と次元を求めてください。

と解きます。 が自由変数です。

基底は 、次元は 。方程式が 本なので、 次元になります。

問題 3

の基底を求めてください。

とし、 を自由変数にします。

基底は 、次元は 。方程式が 本で です。

問題 4

次の行列の列空間の基底と次元を求めてください。

掃き出します。第 2 行から第 1 行の 倍を引くと 、第 3 行から第 1 行を引くと

段ができたのは第 1 列と第 2 列。列空間の基底は、もとの の第 1 列と第 2 列です[2]

次元は 。第 3 列は第 1 列の 倍と第 2 列の 倍の和で書けるので、落とせます。

掃き出した後の列ではなく、もとの列を答えとする点に手応えがあります。掃き出しで列空間そのものは変わってしまいます。

問題 5

同じ について、核の基底と次元を求めてください。

掃き出した形から が自由変数です。

となります。

基底は で次元は 。実際 です。

次元定理と合います。、核の次元 で、和が列の本数 になります。

問題 6

同じ について、行空間の基底と次元を求めてください。

行基本変形は行空間を変えません。掃き出した後の でない行が、そのまま基底になります。

次元は 。列空間の次元と一致します。どちらも階数に等しいためです[1]

問題 7

次以下の多項式の空間で、 の基底を求めてください。

とすると、条件は です。

基底は で次元は 。全体が 次元、条件が 本なので になります。

が一次独立なのは、次数が違うから。 の係数から 、続いて が出ます。

問題 8

次の実対称行列の全体について、基底と次元を求めてください。

対称行列は次の形に限られます。

自由に動くのは つです。

基底は次の つ。対角を にしたもの つと、非対角を にしたもの つです。

次元は 次行列の全体が 次元で、 という条件が 本入って 落ちます。

問題 9

トレースが 次行列の全体について、基底と次元を求めてください。

なので 。自由なのは です。

次元は 。トレースは線形なので、 本の線形方程式にあたります。

問題 10

について、共通部分と和の基底を求めてください。

共通部分は かつ を満たす部分、つまり 軸です。基底は 、次元は

和は 本の方向 を含むので 全体。次元は です。

次元の公式で確かめます。 で一致しました。

問題 11

同じ空間の つの基底が、必ず同じ本数になることを確かめてください。

問題 2 の で、別の基底 をとります。

どちらも を満たし、比例していないので一次独立です[3] 本で を張ります。

はじめの基底も 本でした。本数が一致します。基底の本数が選び方によらないので、次元が定義できます[3]

生成系から作る

余分なものを落とす。掃き出して段のできた列に対応するものを残す

方程式から作る

自由変数を選ぶ。それぞれを にした解を並べると基底になる

生成系か方程式かを見る

掃き出すか自由変数を選ぶ

出た本数がそのまま次元

要点

基底は一意ではありませんが、本数はいつでも同じです。その本数を次元と呼びます。

生成系から作るときは、掃き出した後の列ではなく、もとの列を答えにします。行のほうは、掃き出した後のものをそのまま使えます。

方程式から作るときは、自由変数の個数がそのまま次元。条件が 本なら、独立している限り になります。

多項式や行列の空間でも手順は同じ。成分の並べ方が違うだけで、自由に動く方向を数えることに変わりはありません。

参考

Sergei Treil. *Linear Algebra Done Wrong*, Chapter 2. Brown University.
Andreas Gathmann. *Das Gauß-Verfahren*. Grundlagen der Mathematik, RPTU Kaiserslautern.
Linear independence. StatLect.
生成系が与えられていれば余分なものを落とし、方程式で書かれていれば自由変数を選ぶ。出てきた本数がそのまま次元です。11 問で、$x+y+z=0$ のような方程式から作る形、列空間と核と行空間の基底、$2$ つの部分空間の和と共通部分を扱いました。列空間では掃き出した後の列ではなく、もとの列を答えにする点が要注意。$p(1) = 0$ を満たす多項式、対称行列の全体、トレースが $0$ の行列の全体のように、成分が並んでいない空間でも手順は同じです。基底は一意でなくても本数は変わらない、という確認まで入れました。