最小多項式と固有多項式の関係

最小多項式と固有多項式は、行列の固有値に関連する2つの多項式である。ケイリー・ハミルトンの定理によって結びつけられ、行列の構造を理解する上で重要な役割を果たす。

固有多項式

次正方行列 の固有多項式 は次で定義される。

これは 次多項式であり、その根が の固有値である。固有多項式を展開すると

となり、最高次の係数は 1、定数項は である。

最小多項式

行列 の最小多項式 は、(零行列)を満たす最小次数のモニック多項式(最高次係数が 1 の多項式)である。

最小多項式は一意に存在し、 を満たす任意の多項式 で割り切れる。

両者の関係

最小多項式と固有多項式の間には次の関係がある。

を割り切る
は同じ根をもつ(重複度は異なりうる)
が対角化可能 が重根をもたない

固有値 における重複度を代数的重複度、 における重複度をその固有値に対するジョルダン細胞の最大サイズと呼ぶ。

具体例

対角行列 を考える。

固有多項式は である。

は対角行列なので対角化可能であり、最小多項式は となる。各固有値は1回ずつしか現れない。

一方、 だが、対角化できないので となる。

最小多項式の計算

最小多項式を求めるには、 の一次従属関係を調べる方法がある。 の一次結合で表せる最小の を見つければ、そこから最小多項式が決まる。

実用的には、固有多項式を因数分解し、各因子の次数を下げても を満たすか確認していく方法がとられる。