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行列の n 乗の計算問題|対角化とケイリー・ハミルトン

と書けたら、 乗すると間の が次々に消えます[1]。

は対角行列なので、 は成分を 乗するだけ。 乗でも手で書けます。

対角化できないときは、 と分けて二項定理を使うか、ケイリー・ハミルトンで次数を下げます。

以下 12 問。対角行列から始めて、対角化、べき零、ジョルダン細胞、周期を持つ行列まで扱います。

問題 1

対角行列なので、成分をそのまま 乗します。

、 です。

問題 2

と分けます。 は 成分だけが で、。

と は可換なので二項定理が使え、 以降が消えます。

右上が ずつ増えるだけ。 の右上は です。

問題 3

上三角なので固有値は と 。相異なるので対角化できます。

の固有ベクトルは 、 は です。

なので、公式に入れると が 自身になります。

を入れると 成分が で、 に戻ります。

問題 4

対称行列です。固有値は と 、固有ベクトルは と 。

対称なので固有ベクトルが直交します。正規化して を作れば、 で済みます。

で確かめます。。直接 を計算しても同じです。

問題 5

固有多項式は 。ケイリー・ハミルトンより です[2]。

、。係数がフィボナッチ数になります。

なら 、、 で 。 と一致します。

固有値が無理数でも、次数下げなら整数の計算だけで進みます。

問題 6

は 成分だけが 、 になります。

ではすべて零行列。べき零行列は、有限回で消えます。

が右上へ動いていき、外へ出たところで終わり。細胞のサイズが、消えるまでの回数にあたります。

問題 7

と分けます。 と は可換で、。

二項定理を当てると、 の項が消えます[3]。

の 乗に加えて、 という項が右上に出ます。

問題 8

次のジョルダン細胞 について を求めてください。

なので、二項定理の項は の つだけ残ります。

は対角の つ右、 は つ右に を置く行列です。だから右上の段ごとに、係数が変わります。

問題 9

度回転です。、、 になります。

回で単位行列に戻るので、 は を で割った余りだけで決まります。

なら なので です。

固有値が で絶対値が なので、いくら掛けても大きくなりません。

問題 10

を満たす行列について、 を求めてください。

を繰り返し使うと、。

すべての で です。射影は、何度当てても結果が変わりません。

固有値が と しかないことからも分かります。、 で、対角成分が動きません。

問題 11

の形です。 なので、問題 2 と同じ理屈が通ります。

の右上は 。 の 乗にはなりません。

問題 12

固有値は の重解で、対角化できません。 と分けます。

で確かめます。。直接 を計算しても同じです。

対角化できる

で終わる。固有値の 乗を並べるだけ

対角化できない

に分けて二項定理。 のような項が余分に出る

固有値を出す

重解がなければ対角化

あれば に分けるか次数を下げる

発展

が大きいときの振る舞いは、固有値の絶対値で決まります。すべて 未満なら に落ちる。

を超えるものが つでもあれば発散します。ちょうど のときは、細胞のサイズによって の多項式ぶんだけ伸びる。

確率行列は固有値の絶対値が 以下で、 が必ず入ります。 が定常分布へ近づく仕組みが、この形から読めます。

が固有値の 次のジョルダン細胞について、 の 成分はどれですか。

__RESULT__

を二項展開すると です。 で、それ以降の項が消えます。 は 成分だけが なので、そこに が入ります。

対角化できる場合も確かめます。

で のとき、 を求める式はどれですか。

__RESULT__

で、間の が単位行列になって消えます。残るのは 。 自身は 乗されません。

対角化できるなら 、できないなら に分ける。どちらでも、 の式として書き下せます。 乗を直接掛ける必要はありません。

参考文献

Sergei Treil. *Linear Algebra Done Wrong*, Chapter 4. Brown University.
Keith Conrad. *The Minimal Polynomial and Some Applications*. University of Connecticut.
David Dummit. *Applications of the Jordan Canonical Form*. Math 4571, Northeastern University.
$A = PDP^{-1}$ なら、$n$ 乗したとき間の $P^{-1}P$ が次々に消えて $PD^nP^{-1}$ が残ります。$D$ は成分を $n$ 乗するだけなので、$100$ 乗でも手で書ける。対角化できないときは $\lambda I + N$ に分けて二項定理を使うと、$N^2 = O$ から $n\lambda^{n-1}$ の項までで止まります。12 問で、対角行列、対称行列、ジョルダン細胞、べき零、$4$ 回で単位行列に戻る回転行列、$P^n = P$ になる射影を扱いました。$(1,1;1,0)$ の $n$ 乗にフィボナッチ数が並ぶ話、ケイリー・ハミルトンで次数を下げる手順も入れています。