行列の指数関数
行列の指数関数は、スカラーの指数関数を行列に拡張したものである。連立線形微分方程式の解を表現する際に本質的な役割を果たす。
定義
正方行列 に対して、行列の指数関数 を次のべき級数で定義する。
この級数は任意の正方行列に対して収束する。 のとき である。
パラメータ を含む形 も同様に定義される。
基本的な性質
行列の指数関数は以下の性質をもつ。
と が可換なら
注意すべきは、一般に であることである。等式が成り立つのは のときに限る。
対角行列の場合
が対角行列なら
となる。各対角成分に通常の指数関数を適用するだけでよい。
が対角化可能で と書けるなら
である。
連立微分方程式への応用
連立線形微分方程式 の解は を用いて表される。初期値 に対して
が解である。 より、確かに を満たす。
計算方法
の計算にはいくつかの方法がある。
対角化
が対角化可能なら から と計算できる。
ケイリー・ハミルトン
は の一次結合で書ける。係数は固有値から決まる。
ジョルダン標準形
対角化できない場合は、ジョルダン標準形に変換してから計算する。ジョルダン細胞の指数関数は明示的に計算できる。