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逆行列の求め方|2 次の公式と 3 次の掃き出し法

次には公式があります。対角を入れ替え、非対角に を付け、行列式で割るだけ。

次以上では公式が重くなるので、 を掃き出して にする手順を使います[2]。

以下 12 問。 次の公式、 次の掃き出し、余因子による方法、逆行列が存在しない場合まで並べました。

掃き出しで求める仕組み

に行基本変形を重ねて にできたとします。その変形は基本行列の積 で書け、 より です[2]。

同じ変形を右半分の にも当てると、 が現れます。だから並べて変形すれば、右半分に答えが出る。

左半分が にならなければ、 は正則ではありません。行がすべて になった時点で終わりです。

問題 1

。公式に入れます。

検算します。 の 成分は 、 成分は 。単位行列になります。

問題 2

。分母が負なので、符号がすべて反転します。

を掛け忘れると、符号が逆になります。ここが落とし穴です。

問題 3

掃き出し法で求めてください。

を作り、第 3 行から第 1 行を引きます。第 3 行が になります。

次に第 3 行へ第 2 行の 倍を足すと 。左半分が上三角になりました。

第 3 行を で割り、上へ掃き出します。

なので、分母と合っています。

問題 4

次の行列に逆行列がないことを示してください。

行列式を計算します。

なので逆行列は存在しません。理由も見えます。第 2 行と第 3 行を足すと で、第 1 行に一致する。

掃き出しても同じ結論に着きます。第 1 行から第 2 行と第 3 行を引くと、第 1 行が全部 になり、左半分を にできません。

問題 5

対角が の下三角行列です。逆行列も同じ形になります。

第 3 行を確かめます。 と第 1 列 の内積は 。第 3 列との内積は で合います。

成分が ではなく になる点に手応えがあります。第 2 行の影響が回り込むためです。

問題 6

対角行列なので、各成分の逆数を並べるだけ。

対角成分に があると逆数がとれません。それがそのまま に対応します。

問題 7

次の逆行列と、存在する条件を求めてください。

。これが でない条件は です。

なら 行が同じ、 なら一方が他方の 倍。どちらも行が一次従属になります。

問題 8

を確かめてください。

を計算すると 、、 です。。

一方 を計算すると、同じ行列が出ます。順番が入れ替わる点が要点です。

では一致しません。積の逆行列は、掛ける順番が逆になります[1]。

問題 9

余因子行列を使って求めてください。

。

余因子を並べて転置します。この は対称なので、余因子行列も対称になります。

第 2 行で確かめます。 と第 2 列 の内積は 。 で割って になります[3]。

問題 10

逆行列を使って連立方程式を解いてください。

係数行列は問題 1 の です。 で求まります。

、。代入すると で合います。

方程式が 1 本なら掃き出しのほうが速い。右辺だけ変えて何度も解くときに、逆行列が生きます。

問題 11

と を、問題 1 の で確かめてください。

問題 1 で求めた の行列式は です。

公式を当てると、対角を入れ替えて 倍することになり、もとの に戻ります。

転置のほうは、 の逆行列を計算すると を転置した形になります[1]。 なので分母も同じです。

問題 12

対角が の上三角なので、。逆行列も上三角になります。

成分が になるところが面白い。 が 2 回打ち消し合うためです。

次

公式が短い。対角の入れ替えと符号だけで書ける

次以上

掃き出しか余因子。余因子は 個の小行列式が要るので、次数が上がると掃き出しが速い

を先に確かめる

次なら公式、 次以上なら掃き出し

で検算する

の行列 について、正しいのはどれですか。

  • 逆行列は 行列になる
  • 逆行列が存在しない
  • 逆行列は転置になる
__RESULT__

の両辺の行列式をとると です。 では左辺が になり、等式が成り立ちません。掃き出しでも左半分が単位行列になりません。

順番の規則も確かめます。

、 がどちらも正則のとき、 はどれですか。

__RESULT__

となって確かめられます。 では真ん中が打ち消し合わず、一般に になりません。

次は公式、 次以上は掃き出し。どちらでも最後に を計算すれば、符号や分母のずれがその場で見つかります。

参考

Sergei Treil. *Linear Algebra Done Wrong*, Chapter 1. Brown University.
Andreas Gathmann. *Das Gauß-Verfahren*. Grundlagen der Mathematik, RPTU Kaiserslautern.
The Laplace expansion, minors, cofactors and adjoints. StatLect.
$2$ 次は対角を入れ替えて非対角に $-$ を付け、$ad-bc$ で割るだけ。$3$ 次以上は $(A \mid I)$ を掃き出して $(I \mid A^{-1})$ にします。左半分が単位行列にならなければ、その時点で正則でないと分かる。12 問で、公式の適用、掃き出しの各段階、余因子による方法、対角行列と三角行列の場合、文字を含む行列の存在条件を扱いました。行列式が $0$ で逆行列がない例、$(AB)^{-1} = B^{-1}A^{-1}$ の順番、逆行列で連立方程式を解く手順も入れています。$\det$ が負のときに符号を落とす、という間違いやすい点から始めました。