小学社会311570 views
中学英語813624 views
英語617403 views
高校化学2933198 views
りんご220229 views
高校日本史191026 views
小学算数1203731 views
数学講師2913151 views
いろは3025218 views
高校生物553211 views
Help
Tools

English

行列の積を手で計算する(型の確認から非可換の実例まで)

計算を始める前に型を見る。 が 、 が なら積は になる[3]。

内側の がそろっていないと積は定義されない。外側の と が答えの型を決める。

成分は、 の第 行と の第 列を掛けて足したものである。

以下 13 問。型の確認、 次と 次の計算、非可換の実例、零因子まで並べた。

問題 1

次の積 を求めよ。

成分は 、 成分は 。

成分は 、 成分は 。

問題 2

は 、 は 。内側が でそろうので、積は になる[2]。

、、、。

問題 3

同じ 、 で を求めよ。

が 、 が なので、積は 。 と型からして違う。

が 、 が 。順番を変えると、値どころか大きさが変わる例である。

問題 4

と をそれぞれ求め、一致しないことを確かめよ。

は 、、、。

型は同じ だが、中身が違う。行列の積が非可換だという典型例である[1]。

問題 5

行列とベクトルの積を求めよ。

と なので、答えは 。

、 で である。

列ベクトルは の行列として扱う。だから右から掛ける。

問題 6

と 、 と について、積が作れるかを答えよ。

と は、内側が でそろう。積は になる。

と は、内側が と で合わない。この順では積が作れない。

型を見るだけで、計算する前に判断できる[3]。

問題 7

を確かめよ。

の 成分は 。同じように計算すると、すべての成分が と同じになる。

も同様。単位行列は掛ける順番によらず、相手をそのまま返す。

問題 8

次の積を計算し、 になることを確かめよ。

、。第 2 行も同じ計算で になる。

、 なのに積が零行列。数では起こらないことが、行列では起こる。

実数の掛け算

なら か のどちらか。約分ができる

行列の積

でも 、 がありうる。両辺から を消せない

問題 9

対角行列を左から掛けた場合と右から掛けた場合を比べよ。

では第 1 行が 倍、第 2 行が 倍される。

では列が倍される。左から掛ければ行、右から掛ければ列。この見分けは実務でよく使う。

問題 10

次の積 を求めよ。

第 1 行 と の各列を掛ける。。

第 2 行 では 、第 3 行 では 。

問題 11

、 を求め、 を推測せよ。

2 乗と 3 乗を順に計算する。

右上だけが ずつ増える。 の右上は である。

帰納法で示せる。 を計算すると、右上が になる。

問題 12

を確かめよ。

まず左から。 を出してから を掛ける。

次に右から。 を出してから を掛ける。

一致した。積は非可換だが結合的である[1]。括弧の付け替えは自由にできる。

問題 13

を、問題 1 の 、 で確かめよ。

問題 1 の答えを転置する。

を計算すると 、。残りも合う。

順番が入れ替わる点が要点である。 では一致しない。

型を確かめる

行と列を順に掛けて足す

一致する成分に書き込む

よくあるミス

型を確かめずに計算を始める。内側がそろわなければ、積そのものが存在しません。
を出したあと も同じだと思う。値が違うことも、型が違うこともあります。
成分ごとに掛け算する。 ではありません。これはアダマール積という別の演算です。
から または と結論する。行列では零因子が存在します。
から と約分する。 が正則でないと通りません。
転置で順番を変えない。 です。

行列と 行列の積は、どんな型になりますか。

  • 定義されない
__RESULT__

内側の がそろっているので積が作れます。外側の と が残り、 になります。逆順の と では内側が と で合わず、こちらは作れません。

非可換の意味も確かめる。

かつ のとき、 について言えるのはどれですか。

  • 必ず
  • でもよい
  • は正則
__RESULT__

問題 8 のように、どちらも零行列でないのに積が零になる場合があります。ただし が正則なら、両辺に を掛けて が出ます。

型を見て、行と列を掛けて足す。手順そのものは短い。順番と型でつまずくことが多いので、そこだけ先に確かめる習慣をつけると計算が速くなる。

出典

Sergei Treil. *Linear Algebra Done Wrong*, Chapter 1. Brown University.
Andreas Gathmann. *Lineare Abbildungen als Matrizen*. Grundlagen der Mathematik, RPTU Kaiserslautern.
*Matrix Multiplication*. Linear Algebra and Its Application, LibreTexts.
計算より先に型を見ます。$m \times r$ と $r \times n$ で内側がそろえば積が作れ、外側が答えの型になる。$2 \times 3$ と $3 \times 2$ では $AB$ が $2 \times 2$、$BA$ が $3 \times 3$ で、大きさからして違います。13 問で、$2$ 次と $3$ 次の計算、行列とベクトルの積、対角行列を左右から掛けたときの違い、$A \neq O$ かつ $B \neq O$ なのに $AB = O$ になる例、$A^n$ の推測、結合法則と $(AB)^{\mathsf{T}} = B^{\mathsf{T}}A^{\mathsf{T}}$ の確認まで。成分ごとの掛け算と混同しやすい点も並べました。