基底と座標
基底はベクトル空間を記述するための骨格であり、座標は基底を用いてベクトルを数の組として表現する仕組みである。
基底の定義
ベクトル空間 の部分集合 が基底であるとは、次の2条件を満たすことをいう。
は を生成する(任意の は の一次結合で表せる)
は一次独立である
基底が存在するとき、 は有限次元であり、基底の元の個数を の次元と呼ぶ。異なる基底をとっても、元の個数は常に同じである。
標準基底
の標準基底は、第 成分だけが 1 で他が 0 のベクトル からなる。
任意のベクトル は と表せる。
座標の定義
の基底 を固定する。任意の は基底の一次結合として一意に表せる。
このとき、 を の基底 に関する座標と呼び、 と書く。
座標は基底の選び方に依存する。同じベクトルでも、基底を変えれば座標は変わる。
座標の一意性
座標が一意に定まることは、基底の一次独立性から従う。もし と2通りに表せたとすると、 となる。一次独立性より各係数は 0 だから である。
座標と線形写像
座標を用いると、抽象的なベクトル空間を と同一視できる。 の基底 を固定すると、 は から への同型写像になる。
この対応のおかげで、線形写像は行列で表現でき、抽象的な議論を具体的な計算に帰着させることができる。