一次独立かどうかを見分ける(行列式・階数・定義から)
本数と次元が同じなら、列に並べた行列の行列式を見る。 でなければ一次独立である[1]。
本数と次元が違うときは行列式が作れないので、階数を数える。階数が本数に届けば一次独立になる。
定義に戻る道もある。 の解が だけかを直接調べる方法で、関数のように成分がない相手にはこれを使う[3]。
以下 12 問。3 つの道具を場面ごとに使い分ける。
問題 1
次元に 本なので、列に並べて行列式をとる。
なので一次従属である。実際 と書ける。
問題 2
行列式を計算する。
でないので一次独立。 本が空間を張る。
問題 3
なので一次従属である。行列式でも になる。
本の場合は、一方が他方の定数倍かどうかを見れば足りる。計算する前に気づくことが多い。
問題 4
の中の 本のベクトルについて、一次独立になりうるかを答えよ。
なりえない。 次元空間で 本より多くとると、必ず一次従属になる。
列に並べると 行列で、階数は 以下。本数の に届かないためである。
連立方程式の側から見ても同じ。未知数 、式 の同次方程式は、自明でない解を必ず持つ。
問題 5
零ベクトルを含む組が一次従属であることを示せ。
とする。 が成り立つ。
係数のうち 個が でないので、定義から一次従属である[3]。
他のベクトルがどれだけ「独立らしく」ても、零ベクトルが 1 本混じるだけで従属になる。
問題 6
次の 組を判定せよ。
どちらも 次元に 本なので、正方行列にならず行列式が使えない。階数で判定する。
組 A は 本目が 本目の 倍。階数は で、本数の に届かないので一次従属。
組 B は比例していない。掃き出すと段が つでき、階数 。本数と一致するので一次独立である。
問題 7
次元に 本。列に並べた 行列を掃き出す。
上から 行が単位行列の形なので、それだけで段が つできる。第 行は掃き出すと になる。
階数は で本数と一致するので、一次独立である[2]。

問題 8
多項式 、、 が一次独立であることを示せ。
成分がないので、定義に戻る。 がすべての で成り立つとする。
を入れると 。 と を入れると と で、。
係数がすべて になったので一次独立である。
でない多項式は根が有限個しかない、という事実を使ってもよい。恒等的に なら係数がすべて になる。
問題 9
関数 と が一次独立であることを示せ。
がすべての で成り立つとする。
を入れると 。 を入れると 。
適当な点を代入するだけで係数が落ちる。関数の一次独立は、この形で示すことが多い。
問題 10
次が一次従属になる を求めよ。
列に並べて行列式をとる。
のとき になる。このとき で、確かに従属である。
問題 11
定義から と の一次独立を示せ。
とおく。成分ごとに書くと と 。
足すと で 、引くと で 。自明な解しかない。
行列式でも で同じ結論になる。
問題 12
一次独立なら直交する、という主張の反例を挙げよ。
と をとる。行列式は なので一次独立である。
ところが内積は 。直交していない。
逆向きは成り立つ。 でないベクトルが互いに直交していれば、必ず一次独立になる。
原点以外で重ならない方向をもつ。角度は関係しない
内積が 。一次独立より強い条件で、逆は成り立たない
本数と次元が同じなら行列式
違うなら階数
成分がなければ定義に戻る
整理
判定法は 3 つある。行列式は正方のときだけ、階数はいつでも、定義は成分がない相手にも使える。
次元で 本より多ければ、計算する前に従属だと決まる。零ベクトルが混じっている場合も同じ。
本なら比例しているかを見るだけで済む。本数が少ないうちは、行列式より目で見たほうが速い。
一次独立は方向の重なりを見る条件で、角度は問わない。直交と混ぜないことが要点である。










