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点から平面へ垂線を下ろす〜直交射影の計算演習

から へ垂線を下ろした足が、直交射影です。 が 1 本のベクトル で張られているなら、式は 1 行で書けます[1]。

が広がっても形は変わりません。直交する基底で同じ式を足すだけ。ただし基底が直交していないと、この足し算は通りません。

以下 11 問。直線への射影、平面への射影、射影行列、距離、最小二乗まで扱います。

2 つの向きから求める

そのものへ射影する道と、 の直交補空間へ射影して引く道があります。

平面のように が大きいときは、法線が 1 本で済む後者が速い。

どちらで求めても、 が に入り、 が に直交する、という 2 つを満たします[2]。

問題 1

の、 方向への射影を求めてください。

、 なので係数は 。

軸への射影なので、 成分が落ちただけ。残りの が と直交します。

問題 2

の、 方向への射影を求めてください。

、。係数は です。

残りは 。内積が で、確かに直交します。

問題 3

の、平面 への射影を求めてください。

の法線は 。平面へ直接向かうより、法線方向を引くほうが速い。

問題 2 で が出ています。

なので、答えが平面の上に乗っていると確かめられます。

問題 4

への の射影を求めてください。

本の基底が直交していません。 なので、そのまま足す式は使えません。

法線を使います。 本の外積は です。

、 です。

確かめます。 で、 の元になっています。

問題 5

への射影行列を求めてください。

本のときは です[1]。

に当てると 。 の 倍で、確かに の元です。

問題 6

問題 5 の が と を満たすことを確かめてください。

を計算します。

は対称なので も明らかです。

一度射影したものをもう一度射影しても動かない。これが の意味です。

問題 7

問題 5 の について、 が何への射影かを答えてください。

を計算します。

に当てると 。 との内積が なので、 の直交補空間の元です。

で、和がもとに戻ります。 は直交補空間への射影です。

問題 8

から平面 までの距離を求めてください。

距離は 、つまり法線方向の成分の長さです。

問題 3 で が出ているので、距離は 。

点と平面の公式でも確かめられます。 で一致します。

問題 9

正規直交基底 、 が張る へ、 を射影してください。

基底が正規直交なので、内積を係数にして足すだけです[3]。

、。

残りは 。 とも とも内積が になります。

問題 10

に対して、 を各基底へ射影して足すと何が起こるかを確かめてください。

への射影は 、 への射影は 。足すと です。

ところが は 全体なので、正しい射影は 自身の 。合いません。

基底が直交していないと、この足し算は成り立たない。先に直交化するか、法線を使う必要があります[1]。

問題 11

点 、、 に、最小二乗で直線 を当ててください。

係数行列と右辺を並べます。

正規方程式 を作ります。 の成分は 、右辺は 。

、 を解いて 、。

残差は 、、 で、足すと 。 から の列空間への射影になっているので、残差がその空間と直交します。

基底が直交している

内積を係数にして足すだけ。本数が増えても手順は同じ

直交していない

そのままでは足せない。直交化するか、法線から引く形にする

の基底が直交しているか見る

していれば内積で係数を出す

していなければ法線を使うか直交化する

まちがえやすい点

直交していない基底で、各方向の射影を足す。問題 10 のようにずれます。
で割るのを忘れる。 の長さが のときだけ省けます。
射影の残りを の元だと思う。残りは直交補空間の元です。
を と読む。 が全体でない限り です。
距離を射影そのものの長さととり違える。距離は残りの長さです。
最小二乗で をそのまま解こうとする。解がないので、正規方程式に直します。

を 方向へ射影した結果はどれですか。

__RESULT__

、 なので係数は です。 になります。 で割らないと 、内積をとり違えると が出ます。

射影の性質も確かめます。

射影行列 について、 はどこに入りますか。

  • の中
  • の直交補空間
  • 原点だけ
__RESULT__

がすべての で成り立つ、というのが射影の定義そのものです。この残りの長さが、 から までの距離になります。

垂線を下ろす。それだけの操作ですが、基底が直交しているかどうかで手順が分かれます。直交していれば内積を並べるだけで、していなければ先に直交化するか法線に回ります。

参考文献

David Austin. *Orthogonal bases and projections*. Understanding Linear Algebra.
Sergei Treil. *Linear Algebra Done Wrong*, Chapter 5. Brown University.
Orthonormal basis. StatLect.
$\operatorname{proj}_w v = \frac{\langle v, w \rangle}{\|w\|^2}w$ が出発点です。$W$ が広がっても、基底が直交していれば同じ式を足すだけ。していなければ足し算が崩れるので、法線から引くか先に直交化します。11 問で、直線への射影、平面への射影、射影行列 $P = uu^{\mathsf{T}}/u^{\mathsf{T}}u$、$P^2 = P$ の確認、$I - P$ が直交補空間への射影になること、点と平面の距離、最小二乗で直線を当てる正規方程式までを追いました。直交していない基底で足すと答えがずれる例も入れています。