その行列は対角化できる?重複度をそろえる判定練習
重解がなければ、その時点で対角化できる。重解があるときだけ、階数を 1 回計算して確かめる[1]。
この値が代数的重複度に届けば合格。1 つでも足りなければ対角化できない[3]。
以下 13 問。 次から 次まで、文字を含む場合、体を広げると結論が変わる場合まで並べた。
判定の順序
固有多項式を解いて固有値を出す。重解がなければそこで終わり、あるものだけ階数を見る。
固有ベクトルを書き下す必要はない。掃き出して段の数を数えるだけで、次元が決まる。
問題 1
固有値は の重解。代数的重複度は である。
の第 1 行が 、第 2 行が で階数は 。よって 。
で足りないので、対角化できない。
問題 2
すでに対角行列である。固有値 の重複度は 、 で階数 なので 。
一致するので対角化できる。 をとればよい。
問題 3
固有多項式は 。判別式は で、相異なる つの実固有値をもつ。
異なる固有値の固有ベクトルは自動的に一次独立なので、階数を計算するまでもなく対角化できる[2]。
問題 4
固有多項式は 。実数の範囲に根がない。
実数の範囲では固有ベクトルが 本もないので、対角化できない。回転なので、向きの変わらない方向がないというのが理由である。
複素数まで広げると固有値は で、相異なる つ。 では対角化できる。
どちらの体で考えているかで結論が変わる例である[3]。
問題 5
対角行列なので対角化できる。固有値 の重複度は 、 の階数は なので で一致する。
問題 6
固有値は の 重解。 は右上に が つ並ぶ形で、階数は 。
で、 に届かない。対角化できない。
これはジョルダン細胞そのもので、固有値 の 次の細胞 個からなる。
問題 7
実対称行列である。この時点で対角化できると分かる[1]。
実対称なら固有値がすべて実数で、直交行列で対角化できることが保証されている。重複度を数える必要がない。
実際に計算すると固有値は と 、固有ベクトルは と で直交している。
問題 8
上三角なので固有値は 。 の代数的重複度は である。
を書くと第 1 行が 、他は で階数は 。。
一致するので対角化できる。 は重複がないので確かめなくてよい。
問題 9
固有値は 。 は 成分が 、 成分が で、階数は 。
。代数的重複度の に足りないので、対角化できない。
問題 8 と形は似ているが、 の入り方が違うだけで結論が変わる。

問題 10
を満たす行列は対角化できることを示し、次で確かめよ。
が を消すので、最小多項式は 、、 のいずれか。どれも重根を持たない[2]。
最小多項式が重根を持たなければ対角化できるので、射影はつねに対角化できる。
この で確かめる。
固有値は と で相異なるので、対角化できる。
問題 11
かつ の行列は対角化できないことを示せ。
最小多項式は か 。 なので ではなく、 になる。 が重根である。
具体例で見る。 の 成分だけが の 次行列なら、固有値は の重解。
の階数は なので 。 に届かず、対角化できない。
零行列でないべき零行列は、どれも対角化できない。対角化できれば だけの対角行列になり、 になってしまうためである。
問題 12
次が対角化できる の値を求めよ。
固有値は の重解。 は 成分だけが の行列である。
なら階数が で 、足りないので対角化できない。
なら で階数 、 となり対角化できる。答えは だけ。
問題 13
固有多項式は 。 の重解である。
は両方の行が で階数 。 で足りない。
対角化できない。三角行列でなくても、重解のときは同じ手順で判定できる。
その時点で対角化できる。階数を計算する必要がない
固有値ごとに階数を出し、 を代数的重複度と比べる
固有多項式を解く
重解のある固有値だけを選ぶ
階数から固有空間の次元を出して比べる
つまずきやすいところ
次正方行列で、固有値が (代数的重複度 )と です。 のとき、対角化できますか。
- できる
- できない
- これだけでは決まらない
判定の入口も確かめる。
次正方行列が相異なる つの実固有値をもちます。階数の計算は必要ですか。
- 必要
- 不要
- 固有ベクトルを書き下す必要がある
異なる固有値の固有ベクトルは一次独立なので、 本そろうことが自動で保証されます。重解がある固有値についてだけ、階数から次元を出して確かめます。
重解を見つけたら階数を 1 回。それだけで判定が終わる。実対称や相異なる固有値のときは、計算に入る前に結論が出る。













dimE2=4−1=3 で、代数的重複度と一致します。λ=7 は重複がないので dimE7=1。固有ベクトルが 3+1=4 本そろい、対角化できます。