y=∣sin⁡x∣y = |\sin x|

関数 y=∣sin⁡x∣y = |\sin x| のグラフ

y=∣sin⁡x∣y = |\sin x| は、正弦 sin⁡x\sin x の絶対値をとった関数です。負の部分を折り返して正の側へ移した、山が連なるようなグラフになります。

定義

∣sin⁡x∣={sin⁡x(sin⁡x≥0)−sin⁡x(sin⁡x<0)|\sin x| = \begin{cases} \sin x & (\sin x \geq 0) \\ -\sin x & (\sin x < 0) \end{cases}

定義域と値域

  • 定義域はすべての実数
  • 値域は 0≤y≤10 \leq y \leq 1
  • 周期は π\pi
  • 偶関数

周期性

もとの sin⁡x\sin x の周期は 2π2\pi ですが、絶対値をとると負の半波が正に折り返されるため、周期は半分の π\pi になります。実際 ∣sin⁡(x+π)∣=∣−sin⁡x∣=∣sin⁡x∣|\sin(x + \pi)| = |-\sin x| = |\sin x| が成り立ちます。

対称性

∣sin⁡(−x)∣=∣−sin⁡x∣=∣sin⁡x∣|\sin(-x)| = |-\sin x| = |\sin x| より偶関数で、yy 軸に関して対称です。さらに各山の頂点を通る直線 x=π2+nπx = \dfrac{\pi}{2} + n\pi に関しても対称になります。

とがった角

各区間で 00 から最大値 11 まで上がり、また 00 へ下がる山(アーチ)をくり返します。最大値 11 は x=π2+nπx = \dfrac{\pi}{2} + n\pi でとります。

x=nπx = n\pi では 00 になりますが、その点では左右で傾きの符号が逆転するためとがった角ができ、微分できません。sin⁡x\sin x のなめらかな波と違い、xx 軸に触れる点が角になるのが特徴です。

x=0x = 0 での近づき方傾き
右から(x→0+x \to 0^{+})11
左から(x→0−x \to 0^{-})−1-1

関数はいたるところ連続ですが、x=nπx = n\pi の角の点でのみ微分できません。連続であっても微分できるとはかぎらない、身近な例になっています。

特徴的な値

xx∣sin⁡x∣|\sin x|
0000
π6\dfrac{\pi}{6}12\dfrac{1}{2}
π2\dfrac{\pi}{2}11
5π6\dfrac{5\pi}{6}12\dfrac{1}{2}
π\pi00

平均とフーリエ級数

11 周期にわたる平均の高さは次のとおりです。

1π∫0πsin⁡x dx=2π≈0.6366\frac{1}{\pi}\int_0^{\pi}\sin x\,dx = \frac{2}{\pi} \approx 0.6366

フーリエ級数に展開すると、この平均値が定数項として現れます。

∣sin⁡x∣=2π−4π∑k=1∞cos⁡2kx4k2−1|\sin x| = \frac{2}{\pi} - \frac{4}{\pi}\sum_{k=1}^{\infty}\frac{\cos 2kx}{4k^2 - 1}

偶関数なので正弦の項が現れず、周期が π\pi なので偶数倍の振動だけが並びます。

応用

電気回路で交流を直流に整える全波整流の波形が、まさに ∣sin⁡x∣|\sin x| の形です1。平均値 2π\dfrac{2}{\pi} が、整流後の出力電圧の目安になります。

  • 整流回路の出力波形
  • 周期的だが折れ点をもつ信号のモデル
  • 絶対値と三角関数を組み合わせた微分・積分の題材
  1. Rectifier、Wikipedia