y=x1+x2y = \dfrac{x}{1+x^2}

有理関数 y=x1+x2y = \dfrac{x}{1+x^2}

y=x1+x2y = \dfrac{x}{1+x^2} は、分子に xx、分母に 1+x21+x^2 をもつ有理関数です。アニェージの曲線 11+x2\dfrac{1}{1+x^2}xx を掛けた形とみることもでき、原点を境に上向きと下向きのこぶ(山と谷)を一つずつもつのが大きな特徴です。

定義域と値域 分母 1+x21+x^2 は最小でも 11 で決してゼロにならないので、すべての実数 xx で定義されます。後述の極大・極小がそのまま最大・最小になるため、値域は [12,12]\left[-\dfrac{1}{2}, \dfrac{1}{2}\right] です。

対称性 f(x)=x1+x2=f(x)f(-x) = \dfrac{-x}{1+x^2} = -f(x) が成り立つので奇関数であり、グラフは原点に関して点対称です。当然、原点 (0,0)(0,0) を通ります。

増減と極値 導関数は商の微分法より f(x)=(1+x2)x2x(1+x2)2=1x2(1+x2)2f'(x) = \dfrac{(1+x^2) - x\cdot 2x}{(1+x^2)^2} = \dfrac{1-x^2}{(1+x^2)^2} となります。1<x<1-1 < x < 1 で正、それ以外で負なので、x=1x = 1 で極大値 12\dfrac{1}{2}x=1x = -1 で極小値 12-\dfrac{1}{2} をとります。これらが上下のこぶの頂点です。

漸近線と極限 x±x \to \pm\infty では分母の x2x^2 が支配的になり y0y \to 0 となるため、xx 軸(y=0y=0)が水平漸近線です。減衰はおよそ 1/x1/x のオーダーとゆるやかで、こぶを越えた後はゆっくりとゼロへ戻ります。

変曲点 二階導関数は f(x)=2x(x23)(1+x2)3f''(x) = \dfrac{2x(x^2 - 3)}{(1+x^2)^3} で、x=0x = 0x=±3±1.732x = \pm\sqrt{3} \approx \pm 1.732 の三か所で符号が変わります。したがって変曲点は三つあり、原点ではグラフが最も急な傾きで横切ります。x=3x = \sqrt{3} での値は 340.433\dfrac{\sqrt{3}}{4} \approx 0.433 です。

他の関数との関係 この関数は対数関数の導関数として現れ、ddx[12ln(1+x2)]=x1+x2\dfrac{d}{dx}\left[\dfrac{1}{2}\ln(1+x^2)\right] = \dfrac{x}{1+x^2} が成り立ちます。

応用 物理では、共鳴現象を記述するローレンツ型の応答において、吸収成分が 11+x2\dfrac{1}{1+x^2} で表されるのに対し、位相のずれ(分散成分)がちょうどこの x1+x2\dfrac{x}{1+x^2} の形になります。信号処理や交流回路の周波数応答など、山と谷が対になって現れる現象を表すモデルとして役立ちます。