一次関数 y=x のグラフ
y=x は、傾きが 1、切片が 0 の最も基本的な一次関数です。一般の一次関数 y=ax+b で a=1、b=0 とした形にあたり、入れた値をそのまま返すことから恒等関数とも呼ばれます。べき関数 y=xn で n=1 とした場合でもあります。
定義域と値域
定義域はすべての実数で、値域もすべての実数です。どんな実数を入れても値がただ一つ定まり、逆にどんな実数の値もちょうど一度だけとります。このもれなく重複のない対応が、y=x が逆関数をもち、しかもその逆関数が自分自身になることの根拠です。
- 定義域はすべての実数
- 値域はすべての実数
- 最大値も最小値もなし
- 極値も変曲点もなし
傾きと切片
傾きは 1 です。x が 1 増えるごとに y も 1 増えるので、変化の割合はグラフのどこをとっても 1 になります。
ΔxΔy=h(x+h)−x=1 直線は x 軸と 45∘ の角をなし、y 切片も x 切片も原点 (0,0) です。2 つの切片が一致するのは、この直線が原点を通るからです。
対称性
f(−x)=−x=−f(x) が成り立つので、原点に関して点対称な奇関数です。グラフは第 1 象限と第 3 象限をまっすぐに貫きます。
増減
導関数はどこでも正の定数です。
したがって全区間で単調に増加します。二階導関数は y′′=0 なので曲がることがなく、極大・極小も変曲点ももちません。増え方が最後まで変わらない、これ以上単純にできない増加の形です。
特徴的な点
通る点は x 座標と y 座標が等しい点ばかりです。この直線は x と y が同じ値であるという条件そのものを表しています。
| x | y=x |
|---|
| −2 | −2 |
| −1 | −1 |
| 0 | 0 |
| 1 | 1 |
| 2 | 2 |
| 100 | 100 |
逆関数の鏡
直線 y=x は、関数とその逆関数を映す鏡になります。y=f(x) のグラフと y=f−1(x) のグラフは、この直線に関して線対称です。点 (a,b) が一方のグラフ上にあることと、点 (b,a) がもう一方のグラフ上にあることが、同じ意味になるからです。
| 関数 | 逆関数 |
|---|
| y=ex | y=lnx |
| y=x2(x≥0) | y=x |
| y=2x+1 | y=2x−1 |
| y=x | y=x |
最後の行のとおり、y=x 自身は逆関数が自分と一致します。鏡に映しても動かない、鏡そのものだからです。
一般の一次関数との関係
一次関数の一般形は次の式です。
y=x は a=1、b=0 の場合にあたります。a を変えると傾きが変わって直線が回転し、b を変えると上下に平行移動します。a=0 のときだけは y=b という水平な直線になり、x が変わっても y が動かないので、一次関数とは呼びません。
応用
- 予測値と実測値の散布図で、当てはまりのよさをはかる基準線
- 比例定数が 1 の、最も素朴な比例のモデル
- 何も変えないという操作、すなわち恒等写像
- 関数とその逆関数を見くらべるときの対称軸