y=xsinx sinc 関数 y=xsinx のグラフ
y=xsinx は「シンク関数(sinc)」と呼ばれ、正弦を x で割った関数です1。ここでは正規化しない形(非正規化 sinc)を扱います。
定義と特異点
sincx=xsinx 式のうえでは x=0 で分母が 0 になりますが、次の極限が存在します。
x→0limxsinx=1 したがって x=0 は除去可能な特異点です。値を 1 と定めればグラフは切れ目なくつながり、点 (0,1) を通ります。
定義域と値域・対称性
x=0 を上のように補えば定義域はすべての実数です。sinx も x もともに奇関数なので、その商は偶関数となり、グラフは y 軸に関して対称です。最大値は x=0 での 1 です。
零点
分子 sinx=0 かつ x=0 となる点、すなわち x=nπ(n=0)で 0 になります。x=0 は零点ではなく、逆に最大値をとる点である点に注意します。
減衰と包絡線
∣sinx∣≤1 なので xsinx≤∣x∣1 が成り立ち、振幅は包絡線 y=±x1 に沿って減衰します。x→±∞ では 0 に近づくので、x 軸が水平漸近線です。
極値
極値の位置は tanx=x の解で与えられ、原点から離れるほど包絡線に従って小さくなります。
| x | xsinx |
|---|
| 0 | 1 |
| ≈4.4934 | ≈−0.2172 |
| ≈7.7253 | ≈0.1284 |
| ≈10.9041 | ≈−0.0913 |
最小値は ≈−0.2172 なので、関数の値はつねに約 −0.217 以上 1 以下に収まります。
積分
原始関数は初等関数で表せませんが、無限までの積分は閉じた形になります2。
∫0∞xsinxdx=2π ディリクレ積分と呼ばれます。絶対値をとった xsinx の積分は発散するので、これは条件収束です。振動の正負が打ち消し合うことで有限に収まります。
応用
- 方形パルスのフーリエ変換
- 標本化定理における補間関数(理想ローパスフィルタ)
- 単スリットによる光の回折の強度分布
πxsin(πx) の形を正規化 sinc と呼び、零点がちょうど整数に来るように調整したものです。標本化定理では、離散的な標本値から連続信号を復元する補間関数として使われます3。
- Sinc function、Wikipedia
- Dirichlet integral、Wikipedia
- Nyquist-Shannon sampling theorem、Wikipedia