y=secxy = \sec x

正割関数 y=secxy = \sec x のグラフ

正割関数 y=secxy = \sec x は、余弦関数 cosx\cos x の逆数として定義される三角関数です1。「セカント」と読み、直角三角形では斜辺を隣辺(底辺)で割った比に対応します。

定義

secx=1cosx\sec x = \frac{1}{\cos x}

分母が余弦なので、余弦の値がそのまま逆数となって現れます。

定義域と値域

  • 定義域は xπ2+nπx \neq \dfrac{\pi}{2} + n\pi を満たす実数
  • 値域は y1y \leq -1 または y1y \geq 1
  • 周期は 2π2\pi
  • 偶関数

1cosx1-1 \leq \cos x \leq 1 かつ cosx0\cos x \neq 0 より secx1|\sec x| \geq 1 となり、1<y<1-1 < y < 1 の範囲の値は決してとりません。もとの余弦が収まっていた帯の外側だけを、正割は動きます。

対称性と周期性

cosx\cos x が偶関数なので sec(x)=secx\sec(-x) = \sec x が成り立ち、yy 軸に関して対称です。周期は余弦と同じ 2π2\pi です。

漸近線と極限

x=π2+nπx = \dfrac{\pi}{2} + n\pi の各点に垂直な漸近線をもちます。

近づき方cosx\cos xsecx\sec x
x(π2)x \to \left(\dfrac{\pi}{2}\right)^{-}0+0^{+}++\infty
x(π2)+x \to \left(\dfrac{\pi}{2}\right)^{+}00^{-}-\infty

増減と極値

導関数は ddxsecx=secxtanx\dfrac{d}{dx}\sec x = \sec x \tan x です。隣り合う漸近線の間では U 字型または逆 U 字型の曲線になります。

xxcosx\cos xsecx\sec x極値
2nπ2n\pi1111極小
(2n+1)π(2n+1)\pi1-11-1極大

余弦が最大のところで正割は最小になり、余弦が最小のところで正割は最大になります。逆数をとると大小が入れかわるためで、値が 00 に近いところほど正割は大きく振れます。

他の関数との関係

三角関数の基本の公式に現れます。

1+tan2x=sec2x1 + \tan^2 x = \sec^2 x

余割 cscx\csc x とは secx=csc(x+π2)\sec x = \csc\left(x + \dfrac{\pi}{2}\right) で結ばれ、正弦と余弦の関係がそのまま逆数側へ移ります。

積分

secxdx=lnsecx+tanx+C\int \sec x\,dx = \ln|\sec x + \tan x| + C

応用

  • メルカトル図法における緯度方向の引き伸ばし
  • 斜面や光の屈折の計算
  • sec2x\sec^2 x が正接の導関数として現れる積分計算

メルカトル図法では、緯度 φ\varphi の地点で東西方向の縮尺が secφ\sec\varphi 倍になります2。高緯度ほど地図が大きく引き伸ばされるのは、この関数が急に大きくなるためです。

  1. Trigonometric functions、Wikipedia
  2. Mercator projection、Wikipedia