y=erfxy = \operatorname{erf} x

誤差関数 y=erfxy = \operatorname{erf} x

誤差関数 erfx\operatorname{erf} x は、ガウス関数を積分して定義される特殊関数です1

erfx=2π0xet2dt\operatorname{erf} x = \frac{2}{\sqrt{\pi}}\int_0^x e^{-t^2}\,dt

前に付く係数 2π\dfrac{2}{\sqrt{\pi}} は、xx \to \infty で値がちょうど 11 に近づくように選ばれた規格化定数です。ガウス積分が 0et2dt=π2\int_0^{\infty} e^{-t^2}\,dt = \dfrac{\sqrt{\pi}}{2} であることから決まります。

定義域と値域

  • 定義域はすべての実数
  • 値域は開区間 (1,1)(-1, 1)
  • 単調に増加する
  • 奇関数

被積分関数 et2e^{-t^2} がつねに正なので、単調に増加します。

対称性

被積分関数が偶関数なので、積分の結果は奇関数になります。すなわち erf(x)=erf(x)\operatorname{erf}(-x) = -\operatorname{erf}(x) が成り立ち、グラフは原点に関して点対称です。

増減と傾き

微分積分学の基本定理より、導関数はガウス関数そのものです。

ddxerfx=2πex2\frac{d}{dx}\operatorname{erf} x = \frac{2}{\sqrt{\pi}}\,e^{-x^2}

つねに正なので全域で単調増加です。原点での傾きは 2π1.128\dfrac{2}{\sqrt{\pi}} \approx 1.128 で最も急になります。

収束の速さ

xxerfx\operatorname{erf} x
0.50.50.5205\approx 0.5205
110.8427\approx 0.8427
220.9953\approx 0.9953
330.99998\approx 0.99998

上下に二本の水平漸近線 y=±1y = \pm 1 をもちます。裾が ex2e^{-x^2} で減衰するため収束は非常に速く、x=3x = 3 ですでに 11 との差が 10510^{-5} を下回ります。

変曲点

二階導関数は 4xπex2-\dfrac{4x}{\sqrt{\pi}}\,e^{-x^2} で、x=0x = 0 で符号が変わるため、原点が唯一の変曲点です。そこを境に下に凸から上に凸へ移ります。

他の関数との関係

標準正規分布の分布関数 Φ(x)\Phi(x) とは次の関係で結ばれます。

Φ(x)=12(1+erfx2)\Phi(x) = \frac{1}{2}\left(1 + \operatorname{erf}\frac{x}{\sqrt{2}}\right)

2\sqrt{2} が現れるのは、erf\operatorname{erf}et2e^{-t^2} を、正規分布が et2/2e^{-t^2/2} を使うという定義の違いによるものです。また 1erfx1 - \operatorname{erf} x を相補誤差関数 erfcx\operatorname{erfc} x と呼び、裾の確率を精度よく扱いたいときに使われます。

級数展開

erfx=2π(xx33+x510)\operatorname{erf} x = \frac{2}{\sqrt{\pi}}\left(x - \frac{x^3}{3} + \frac{x^5}{10} - \cdots\right)

すべての実数で収束しますが、xx が大きいところでは項が一度大きく膨らむため、実際の計算には漸近展開や有理近似が使われます2

応用と歴史

名前のとおり、もとは観測誤差の理論から生まれました。初等関数では表せないため、専用の特殊関数として扱われます。

  • 正規分布の確率計算
  • 熱伝導・拡散方程式の解
  • 通信路の誤り率の評価
  1. Error function、Wikipedia
  2. Error Functions, Dawson's and Fresnel Integrals、NIST Digital Library of Mathematical Functions