y=arctanx 逆正接 y=arctanx
arctanx(逆正接、アークタンジェント)は、正接関数 tan の逆関数です1。tan は周期 π の関数なので、単調に増加する区間 (−2π,2π) に制限し、その逆関数(主値)を arctan と定めます。
定義
y=arctanx は、次の 2 つを同時に満たす y です。
- tany=x
- −2π<y<2π
定義域と値域
tan はこの区間で全実数をとるため、arctan の定義域はすべての実数です。値域は開区間 (−2π,2π) で、端の値には届きません。
対称性と増減
arctan(−x)=−arctanx が成り立つ奇関数で、グラフは原点対称です。導関数は次のとおりです。
dxdarctanx=1+x21 つねに正なので単調に増加します。分母が 0 にならないため、実数全体でなめらかです。逆正弦や逆余弦のように端で接線が垂直になることもありません。
漸近線
| x | arctanx |
|---|
| →−∞ | →−2π |
| −3 | −3π |
| −1 | −4π |
| 0 | 0 |
| 1 | 4π |
| 3 | 3π |
| →+∞ | →2π |
水平漸近線 y=2π と y=−2π をもち、緩やかな S 字型の曲線になります。値がこの 2 直線を超えることはありません。
変曲点
二階導関数は y′′=−(1+x2)22x で、符号が変わるのは x=0 だけです。したがって変曲点は原点ただ 1 つで、そこが対称の中心でもあります。原点付近では arctanx≈x です。
級数と円周率
原点のまわりの展開は次のとおりで、区間 [−1,1] で収束します。
arctanx=x−3x3+5x5−⋯ x=1 を代入すると arctan1=4π から、ライプニッツの級数が得られます2。
4π=1−31+51−71+⋯ ただし収束は非常に遅く、実際の円周率の計算には arctan51 のように小さな値を使う公式が用いられます。
偏角と atan2
平面上の点 (x,y) の偏角を求めるとき、arctanxy をそのまま使うと第 1 象限と第 3 象限、第 2 象限と第 4 象限が区別できません。多くのプログラミング言語が二引数の atan2 を別に用意しているのは、この曖昧さを避けて全方向を正しく返すためです。
応用
- 傾きから角度を求める計算
- 積分 ∫1+x2dx=arctanx+C
- 信号処理や制御工学における位相の計算
- コンピューターグラフィックスの回転と方向
- Inverse trigonometric functions、Wikipedia
- Leibniz formula for pi、Wikipedia