y=sinhx 双曲線正弦関数 y=sinhx のグラフ
双曲線正弦関数 y=sinhx は、指数関数を用いて次のように定義されます1。
sinhx=2ex−e−x 「ハイパボリックサイン」と読み、三角関数の正弦 sinx に対応する双曲線関数です。
定義域と値域
- 定義域はすべての実数
- 値域もすべての実数
- 単調に増加する
- 奇関数
指数関数 ex と e−x の差で定義されるため、すべての実数で値をもちます。三角関数の sin と違って値が有界でない点が、大きな違いです。
対称性
sinh(−x)=2e−x−ex=−sinhx が成り立つため奇関数で、グラフは原点に関して点対称です。
増減
導関数は dxdsinhx=coshx です。coshx はつねに 1 以上の正の値をとるため、sinhx は実数全体で狭義単調増加します。極値はありません。
二階導関数は sinhx 自身なので、符号が変わるのは原点だけです。したがって変曲点は (0,0) ただ一つで、曲線はそこで上に凸から下に凸へ変わります。
指数関数との関係
coshx+sinhxcoshx−sinhx=ex=e−x 指数関数を偶関数の部分と奇関数の部分に分けたものが cosh と sinh である、と読むこともできます。
原点付近と遠方
| 範囲 | 近似 | ふるまい |
|---|
| 原点付近 | sinhx≈x | 直線 y=x に接する |
| x→+∞ | sinhx≈2ex | 指数関数的に増大 |
| x→−∞ | sinhx≈−2e−x | 指数関数的に減少 |
水平な漸近線はもちません。テイラー展開は奇数次の項だけからなります。
sinhx=x+3!x3+5!x5+⋯ sinx の展開と係数の絶対値は同じで、符号が交互に入れ替わらない点だけが違います。
特徴的な値
| x | sinhx |
|---|
| 0 | 0 |
| 1 | ≈1.1752 |
| 2 | ≈3.6269 |
| 3 | ≈10.0179 |
双曲線との関係
双曲線余弦 coshx との間に恒等式 cosh2x−sinh2x=1 が成り立ちます。この関係から、点 (cosht,sinht) はつねに双曲線 x2−y2=1 の上にあります。
| 項目 | 三角関数 | 双曲線関数 |
|---|
| 恒等式 | cos2t+sin2t=1 | cosh2t−sinh2t=1 |
| 点が乗る曲線 | 単位円 | 単位双曲線 |
| sin 側の導関数 | cost | cosht |
| cos 側の導関数 | −sint | sinht |
| 周期 | 2π | なし |
三角関数における点 (cost,sint) が単位円上にあることと対応しており、これが「双曲線関数」という名前の由来です。
応用
- 鎖や電線が自重で垂れ下がる懸垂線の記述
- 弦の振動や熱伝導の方程式
- 特殊相対性理論における速度の合成(ラピディティ)2
- Hyperbolic functions、Wikipedia
- Rapidity、Wikipedia