放物線の平行移動

放物線 y=x2y = x^2 を xx 方向に 22、yy 方向に 11 だけ平行移動したグラフを考えます。xx を x−2x - 2 に置きかえ、全体に 11 を足すと y=(x−2)2+1y = (x - 2)^2 + 1 になります。

なぜ引くのか

xx 方向へ +2+2 動かすのに、式では x−2x - 2 と引くのが、いちばん引っかかるところです。移動後のグラフ上の点を (x,y)(x, y) とすると、それは移動前のグラフの点を右に 22、上に 11 ずらしたものです。ということは、移動前の点は (x−2, y−1)(x - 2, \ y - 1) でした。この点はもとの放物線 y=x2y = x^2 の上にあるのですから、次の式が成り立ちます。

y−1=(x−2)2y - 1 = (x - 2)^2

これを yy について解けば y=(x−2)2+1y = (x - 2)^2 + 1 です。移動後の座標から移動量を引くと移動前の座標に戻る、それが式の中の引き算の正体です。

頂点形式

一般に y=x2y = x^2 を xx 方向に pp、yy 方向に qq 動かすと y=(x−p)2+qy = (x - p)^2 + q となり、頂点は原点 (0,0)(0, 0) から (p,q)(p, q) に移ります。この形は頂点形式と呼ばれ、頂点がそのまま読めるので便利です。

移動式頂点
なしy=x2y = x^2(0,0)(0, 0)
右に 22y=(x−2)2y = (x - 2)^2(2,0)(2, 0)
上に 11y=x2+1y = x^2 + 1(0,1)(0, 1)
右に 22、上に 11y=(x−2)2+1y = (x - 2)^2 + 1(2,1)(2, 1)

xx 方向の移動と yy 方向の移動は独立で、順序を入れかえても結果は同じです。

形は変わらない

平行移動しても放物線の形は変わりません。x2x^2 の係数はどちらも 11 のままで、開き方も向きも同じです。位置だけが変わり、合同な図形が移動しただけ、ということです。

一般形との行き来

展開すれば (x−2)2+1=x2−4x+5(x - 2)^2 + 1 = x^2 - 4x + 5 と一般形になります。逆にいえば、一般形の二次関数はすべて平方完成によって頂点形式に直せるので、y=x2y = x^2 をどれだけ動かしたものかが必ず分かります。x2x^2 の係数が 11 でない場合は、縦の伸縮も加わります。

ほかの関数でも同じ

この規則は放物線だけのものではありません。どんな関数でも y=f(x−p)+qy = f(x - p) + q が右に pp、上に qq の平行移動になります。

  • 円 x2+y2=r2x^2 + y^2 = r^2 は (x−p)2+(y−q)2=r2(x - p)^2 + (y - q)^2 = r^2
  • 正弦曲線 y=sin⁡xy = \sin x は y=sin⁡(x−p)+qy = \sin(x - p) + q
  • 絶対値の V 字 y=∣x∣y = |x| は y=∣x−p∣+qy = |x - p| + q

この例では頂点が (0,0)(0, 0) から (2,1)(2, 1) に移り、グラフの大きな点がそれぞれの頂点です。