絶対値の和のグラフ
y=∣x+1∣+∣x−1∣ のグラフを考えます。これは数直線上の点 x から −1 と 1 までの距離の和です。
場合分けで書く
折れ点の候補は、絶対値の中身が 0 になる x=−1 と x=1 です。
| 範囲 | 場合分けした式 | 結果 | 傾き |
|---|
| x<−1 | −(x+1)−(x−1) | −2x | −2 |
| −1≤x≤1 | (x+1)+(1−x) | 2 | 0 |
| x>1 | (x+1)+(x−1) | 2x | 2 |
折れ曲がる点は (−1,2) と (1,2) で、そのあいだの底が最小値 2 です。
最小値が 2 になる理由
距離の意味からすぐ分かります。−1 と 1 のあいだに立てば、2 点までの距離の和はちょうど 2 点のへだたり 2 に等しくなります。外に出れば、その分だけ余計に歩くことになるので、和は必ず 2 より大きくなります。式でいえば三角不等式です。
∣x+1∣+∣x−1∣≥∣(x+1)−(x−1)∣=2 等号が成り立つのが −1≤x≤1 のときです。
最小値をとる点が区間になる
おもしろいのは、最小値をとる点が 1 点ではなく区間全体だということです。−1 から 1 までのどこに立っても、距離の和は 2 のまま変わりません。この平らな底が、絶対値の和という関数の特徴です。
解の個数
∣x+1∣+∣x−1∣=k の解も、この形から読み取れます。
| k の範囲 | 解 |
|---|
| k<2 | なし |
| k=2 | −1≤x≤1 のすべて(無限個) |
| k>2 | 外側に 2 個 |
水平線を上げ下げすると、解の姿がこのように変わります。
中央値との関係
距離の和を最小にする点、という問題は応用でもよく現れます。数直線上の何点かからの距離の和を最小にするのは、それらの中央値にあたる位置です。点が偶数個なら、真ん中の 2 点にはさまれた区間のどこでもかまいません。
| 最小にするもの | 最適な位置 |
|---|
| 2 乗の和 | 平均 |
| 絶対値の和 | 中央値 |
統計で中央値が外れ値に強いとされる理由が、この平らな底に現れています。大きな点が折れ点と中央 (0,2) です。