y=cosh⁡xy = \cosh x

双曲線余弦関数 y=cosh⁡xy = \cosh x のグラフ

双曲線余弦関数 y=cosh⁡xy = \cosh x は、指数関数を用いて次のように定義されます1。

cosh⁡x=ex+e−x2\cosh x = \frac{e^x + e^{-x}}{2}

「ハイパボリックコサイン」と読み、三角関数の余弦 cos⁡x\cos x に対応する双曲線関数です。

定義域と値域

  • 定義域はすべての実数
  • 値域は y≥1y \geq 1
  • 最小値 11 を x=0x = 0 でとる
  • 偶関数

相加平均と相乗平均の関係から、値がつねに 11 以上になることが分かります。

ex+e−x2≥ex⋅e−x=1\frac{e^x + e^{-x}}{2} \geq \sqrt{e^x \cdot e^{-x}} = 1

等号が成り立つのは ex=e−xe^x = e^{-x}、すなわち x=0x = 0 のときだけです。

対称性

cosh⁡(−x)=e−x+ex2=cosh⁡x\cosh(-x) = \dfrac{e^{-x} + e^{x}}{2} = \cosh x が成り立つため偶関数で、グラフは yy 軸に関して線対称です。

増減と最小点

導関数は ddxcosh⁡x=sinh⁡x\dfrac{d}{dx}\cosh x = \sinh x です。sinh⁡x\sinh x は x<0x < 0 で負、x>0x > 0 で正となるため、cosh⁡x\cosh x は x<0x < 0 で減少し x>0x > 0 で増加します。したがって最小点は (0,1)(0, 1) です。

二階導関数は cosh⁡x\cosh x 自身でつねに正ですから、グラフ全体が下に凸で、変曲点はありません。U 字を引き伸ばしたようななめらかな谷型を描きます。

特徴的な値

xxcosh⁡x\cosh x
0011
0.50.5≈1.1276\approx 1.1276
11≈1.5431\approx 1.5431
22≈3.7622\approx 3.7622

両側で e∣x∣2\dfrac{e^{|x|}}{2} に従って指数関数的に増大し、水平な漸近線はもちません。テイラー展開は偶数次の項だけからなります。

cosh⁡x=1+x22!+x44!+⋯\cosh x = 1 + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} + \cdots

指数関数との関係

cosh⁡x+sinh⁡x=excosh⁡x−sinh⁡x=e−x\begin{align*} \cosh x + \sinh x &= e^x \\ \cosh x - \sinh x &= e^{-x} \end{align*}

また恒等式 cosh⁡2x−sinh⁡2x=1\cosh^2 x - \sinh^2 x = 1 が成り立ち、点 (cosh⁡t,sinh⁡t)(\cosh t, \sinh t) は双曲線 x2−y2=1x^2 - y^2 = 1 の右半分の上にあります。

懸垂線

最も有名な応用は懸垂線(カテナリー)です2。両端を固定した鎖や電線が自重で垂れ下がるとき、その曲線は次の形になります。

y=acosh⁡xay = a\cosh\frac{x}{a}

放物線によく似ていますが、数学的には別物です。展開の第 33 項から差が出るので、原点から離れるほど食い違いが大きくなります。

xxcosh⁡x\cosh x1+x221 + \dfrac{x^2}{2}
0.50.5≈1.1276\approx 1.12761.12501.1250
11≈1.5431\approx 1.54311.50001.5000
22≈3.7622\approx 3.76223.00003.0000

応用

  • 鎖や送電線が垂れ下がる形
  • 建築のアーチの設計
  • 弦の振動や熱伝導の方程式
  1. Hyperbolic functions、Wikipedia
  2. Catenary、Wikipedia