y=1+x21 アニェージの曲線 y=1+x21
y=1+x21 は「アニェージの曲線(ウィッチ・オブ・アニェージ)」と呼ばれる有理関数で、ガウス関数によく似た釣鐘形をしています。分母が多項式である分だけ、指数関数を使うガウス関数よりも裾(すそ)の減り方がゆるやかなのが特徴です。
定義域と値域 分母 1+x2 はつねに 1 以上で決してゼロにならないため、すべての実数 x で定義されます。0<1+x21≤1 なので値域は (0,1] です。
対称性 f(−x)=1+(−x)21=f(x) より偶関数で、グラフは y 軸に関して対称です。
増減と極値 導関数は f′(x)=(1+x2)2−2x です。x<0 で正、x>0 で負なので、頂点 (0,1) で最大値をとり、その前後で増加から減少へ転じます。
漸近線と極限 x→±∞ で分母が限りなく大きくなり y→0 となるため、x 軸が水平漸近線です。ただし減衰は 1/x2 程度とゆるやかで、たとえば x=3 でも y=0.1 です。
変曲点 二階導関数は f′′(x)=(1+x2)36x2−2 で、x=±31≈±0.577 で符号が変わります。そこでの値は y=43 で、曲線が上に凸から下に凸へ切り替わる肩の位置です。
他の関数との関係 この関数は逆正接関数の導関数、すなわち dxdarctanx=1+x21 です。全区間の積分は ∫−∞∞1+x2dx=π となり、これを π で割った π(1+x2)1 はコーシー分布の確率密度関数になります。
応用と歴史 曲線の名は、18 世紀イタリアの数学者マリア・ガエターナ・アニェージ(1718–1799)に由来します。彼女の 1748 年の教科書で扱われた際、イタリア語の「versiera(回転する曲線)」が「avversiera(魔女)」と取り違えられ、英語で「魔女(witch)」と誤訳されたという逸話が有名です。今日では確率論のコーシー分布や、共鳴現象を表すローレンツ関数として応用されています。