y=11+x2y = \dfrac{1}{1+x^2}

アニェージの曲線 y=11+x2y = \dfrac{1}{1+x^2}

y=11+x2y = \dfrac{1}{1+x^2} は「アニェージの曲線(ウィッチ・オブ・アニェージ)」と呼ばれる有理関数で、ガウス関数によく似た釣鐘形をしています。分母が多項式である分だけ、指数関数を使うガウス関数よりも裾(すそ)の減り方がゆるやかなのが特徴です。

定義域と値域 分母 1+x21 + x^2 はつねに 11 以上で決してゼロにならないため、すべての実数 xx で定義されます。0<11+x210 < \dfrac{1}{1+x^2} \le 1 なので値域は (0,1](0, 1] です。

対称性 f(x)=11+(x)2=f(x)f(-x) = \dfrac{1}{1+(-x)^2} = f(x) より偶関数で、グラフは yy 軸に関して対称です。

増減と極値 導関数は f(x)=2x(1+x2)2f'(x) = \dfrac{-2x}{(1+x^2)^2} です。x<0x < 0 で正、x>0x > 0 で負なので、頂点 (0,1)(0, 1) で最大値をとり、その前後で増加から減少へ転じます。

漸近線と極限 x±x \to \pm\infty で分母が限りなく大きくなり y0y \to 0 となるため、xx 軸が水平漸近線です。ただし減衰は 1/x21/x^2 程度とゆるやかで、たとえば x=3x = 3 でも y=0.1y = 0.1 です。

変曲点 二階導関数は f(x)=6x22(1+x2)3f''(x) = \dfrac{6x^2 - 2}{(1+x^2)^3} で、x=±13±0.577x = \pm \dfrac{1}{\sqrt{3}} \approx \pm 0.577 で符号が変わります。そこでの値は y=34y = \dfrac{3}{4} で、曲線が上に凸から下に凸へ切り替わる肩の位置です。

他の関数との関係 この関数は逆正接関数の導関数、すなわち ddxarctanx=11+x2\dfrac{d}{dx}\arctan x = \dfrac{1}{1+x^2} です。全区間の積分は dx1+x2=π\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\dfrac{dx}{1+x^2} = \pi となり、これを π\pi で割った 1π(1+x2)\dfrac{1}{\pi(1+x^2)} はコーシー分布の確率密度関数になります。

応用と歴史 曲線の名は、18 世紀イタリアの数学者マリア・ガエターナ・アニェージ(1718–1799)に由来します。彼女の 1748 年の教科書で扱われた際、イタリア語の「versiera(回転する曲線)」が「avversiera(魔女)」と取り違えられ、英語で「魔女(witch)」と誤訳されたという逸話が有名です。今日では確率論のコーシー分布や、共鳴現象を表すローレンツ関数として応用されています。