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重解のときだけ x を掛ける、定数係数 2 階線形微分方程式の計算問題

の解は です。 を解いて、出てきた を指数の肩に乗せただけ[1]

微分を に、 階微分を に置きかえる。定数係数の 階線形方程式は、この置きかえで 次方程式になります。

特性方程式の 3 つの場合

次方程式なので、判別式で 通りに分かれます。解の形もそれに合わせて 通り[3]

特性方程式の解一般解
異なる 2 実解 λ1, λ2c1 e^(λ1 x) + c2 e^(λ2 x)
重解 λ(c1 + c2 x) e^(λx)
虚数解 α ± βie^(αx)(c1 cos βx + c2 sin βx)

任意定数は必ず つ出ます。 階の方程式だからで、 つしか出ていなければどこかで解を落としている。

境目の が重解にあたります。振動する側と振動しない側の、ちょうど境界にいる解です。

問題 1:異なる 2 実解

を解け。

解答 1

から です。

因数分解できる形なら、そこで終わり。できなければ解の公式に回します。

問題 2:重解

を解け。

解答 2

で、 が重解です。

だけでは任意定数が つしか置けません。 を掛けた を足して つにします。

重解でなぜ x が付くのか

代入すれば確かめられます。 のとき です。

確かに になりました。もう少し筋の通った見方もあります。

解が に分かれているとき、 も解です。定数倍と差は解のままなので。

この式で とすると、微分の定義そのものになって x e^(λ1 x) が残ります。

についての微分。 実解がぶつかる瞬間に、 つ生まれる。

問題 3:虚数解

を解け。

解答 3

です。実部が 、虚部が

実部が指数の肩、虚部が三角関数の角の係数に入ります。オイラーの公式で をほどくと、この形になる[1]

問題 4:初期条件を入れる

を解け。

解答 4

で重解 。一般解は です。

。微分すると なので、

となり、 です。 階なので条件は つ要ります。

右辺があるとき

右辺が でない場合は、一般解が つの部分に分かれます[2]

後者を特殊解といいます。 つ見つければよく、どうやって見つけたかは問われません。

右辺が指数関数・多項式・三角関数なら、答えの形が予想できます。微分してもその仲間から出ないためです。

右辺の形置いてみる形
e^(λx)A e^(λx)
n 次の多項式n 次の一般の多項式
cos βx や sin βxA cos βx + B sin βx

多項式のときは、右辺に現れない次数の項も全部置きます。 だけでも と置く[2]

三角関数も同じで、 だけでも を添えて置きます。

問題 5:右辺が指数関数

を解け。

解答 5

同次のほうは です。 は解に入っていません。

と置いて代入します。 なので 、つまり

肩の が特性方程式の解と重ならないので、そのまま通ります。

問題 6:右辺が多項式

を解け。

解答 6

同次は と置きます。

を代入して、次数ごとにそろえます。

から から から です。

を省くと、 の項と定数項が合いません。次数を落とさずに置くのはこのためです。

問題 7:右辺が三角関数

を解け。

解答 7

同次は なので 。角が で、同次解の とは違います。

と置くと です。

足すと となり、

に落ちました。それでも最初から を省くと、 になる問題で行き詰まります。

共鳴のときは x を掛ける

置いた形が同次解と重なると、代入したときに左辺が になります。 が決まりません。

そのときは全体に を掛けます。 を掛けてもまだ重なるなら、もう 回掛ける[2,4]

物理では共鳴と呼ばれる現象です。外から加える力の振動数が、系そのものの振動数と一致した状態にあたります。

問題 8:右辺が同次解と重なる

を解け。

解答 8

同次は 。右辺の肩の が解に入っています。

と置いても左辺は になるので、 を掛けて と置きます。

代入して整理すると左辺は になり、

は単根なので、掛けるのは つで足ります。

問題 9:2 重に重なる

を解け。

解答 9

同次は重解 で、 も同次解です。

回掛けただけでは足りません。 と置きます。

代入すると左辺は になるので

重解に重なった場合は まで上がる。掛ける回数は重なりの重複度と一致します[3]

問題 10:右辺が和になっている

を解け。

解答 10

右辺を つに分け、それぞれの特殊解を出して足します。線形なので重ね合わせが効きます。

の側は、 が同次の解なので 。代入すると

定数 の側は と置いて から

片方だけ共鳴して、もう片方はしない。この組み合わせはよく出ます。

定数変化法

右辺が のように、微分しても仲間から出ない関数だと、置く形を予想できません。

そのときは定数変化法を使います。同次解 の定数を関数に変え、 と置く方法です[2]

はロンスキアンです。この形にするには、方程式を の形、つまり の係数を にしておきます。

問題 11:未定係数法が効かない右辺

で解け。

解答 11

で、 です。

積分して なので です。

項と第 項が消えました。一般解は です。

問題 12:三角関数で共鳴する

を解け。

解答 12

同次は 。右辺の がそのまま同次解です。

と置いて代入すると、 を含む項が打ち消し合います。

残るのは で、これが に等しい。 です。

図に描いた解がこれです。振幅が で伸びていきます。

まちがえやすい点

任意定数を 1 つしか置かない。2 階なら必ず 2 つ要ります。
重解で x を掛け忘れる。e^(λx) だけでは解空間が埋まりません。
虚数解で実部と虚部を入れ替える。実部が指数、虚部が角の係数です。
右辺が sin だけのとき cos を省く。両方置かないと係数が決まらないことがあります。
多項式の低い次数を省く。x^2 だけでも定数項まで置きます。
共鳴に気づかず A が消える。左辺が 0 になったら x を掛けます。
定数変化法で y'' の係数を 1 に直さない。ロンスキアンの式が合わなくなります。

特性方程式を解いて、右辺と見比べて、重なっていたら を掛ける。手順はこれだけです。

出典

Second-Order Linear Equations. Calculus Volume 3, OpenStax.
Nonhomogeneous Linear Equations. Calculus Volume 3, OpenStax.
Linear ordinary differential equation with constant coefficients. Encyclopedia of Mathematics.
Équations différentielles linéaires du second ordre. Université en ligne, UNISCIEL.
微分を $\lambda$ に置きかえると、$ay'' + by' + cy = 0$ は $2$ 次方程式になります。判別式が正なら $2$ つの指数関数、$0$ なら $x$ が $1$ つ増えて $(c_1 + c_2 x)e^{\lambda x}$、負なら実部が肩に、虚部が角の係数に入る。右辺があるときは指数・多項式・三角関数に応じて形を予想し、それが同次解と重なっていたら $x$ を掛けます。重複度のぶんだけ掛ける回数も増える。$\tan x$ のように予想できない右辺は定数変化法へ回し、ロンスキアンで押し切る $12$ 問。