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Lp の双対は Lq になる|ヘルダーの不等式から双対空間へ

の上の連続な線形汎関数は、 の元との内積ですべて書けます。 でも似たことが起きますが、相手は ではありません。

で結ばれた が相手になります。 だけが自分自身と組む特別な場合[4]。

ヘルダーの不等式が、その橋を渡しています。積分と積を結ぶこの評価から、双対空間の正体が出てきます[1]。

共役指数

に対し、 をみたす を共役指数と呼びます[1]。

と約束すると、 には 、 には が対応する。

式を解けば です。 を大きくすると は へ近づきます。

と を座標に置くと、対応が直線に乗ります。

ヘルダーの不等式

測度空間の上で、、 とします。積は可積分になり、次が成り立ちます[1]。

数列なら和の形になる。

に落とすとコーシー・シュワルツの不等式です[1]。よく知られた形は、この不等式の特別な場合になります。

等号が成り立つのは、 がほとんど至るところで成り立つときに限ります[1]。片方が決まれば、もう片方の形も決まる。

ヤングの不等式から出す

証明の道具は、 に対する次の評価です[2]。

等号は のときに限ります。これは面積の絵で見ると当たり前になる。

青い部分が 、赤い部分が です。

つを合わせると長方形 を必ず覆います。角がちょうど曲線に乗ったときだけ、はみ出しが消えて等号になる。

ヘルダーの不等式は、この評価を正規化して積分するだけで出ます。 の場合に示せば十分です[2]。

例:数列で確かめる

、 に で当てます。

左辺は 。右辺は です。

差はわずか 。 が の定数倍に近いほど、等号に近づきます。

実際に にすると、左辺は 、右辺は 。ぴったり一致しました。

例:指数を変えて計算する

同じ 、 で、、 を試します。

左辺は です。右辺の第 因子は 。

第 因子は なので、積は になります。 で成立。

指数の組を変えても不等式は保たれる。ただし、どの組で等号に近づくかは と の形で決まります。

例:積分で確かめる

、 を でとります。左辺は です。

なら 、 なので右辺は 。

なら 、 で右辺は です。

どちらも より大きい。 と の形が違うので、等号からは離れています。

汎関数を作る

を つ固定し、次の写像を考えます。

線形なのはすぐ分かります。ヘルダーの不等式から なので、有界でもある。

作用素ノルムは です。ここまでは不等式そのままの帰結になります。

等号を実現する関数を作る

逆向きの評価には、等号を起こす を持ってきます。 から作りましょう。

このとき なので、 になります。

のノルムも計算できる。 に注意して指数を整理します。

割り算をすると です。上限が実現したので になりました[1]。

この計算があるので、ノルムを測る道具が の中にそろっていると言えます。

は、 の範囲で を最大にした値として書き直せる。

リースの表現定理

写像 は等長です。全射でもあることが分かると、双対空間の正体が決まります。

で測度が 有限なら、 の双対空間は と等長同型になります[3]。

のときだけ 有限性が効きます。局所化可能という弱い条件でも足りますが、外れると双対はもっと大きい空間になる[3]。

例:数列空間で見る

数列の空間では対応が具体的に書けます[4]。

空間双対空間
より大きい

は に収束する数列の空間です。その双対が 、さらにその双対が と、階段が 段ずつ上がる。

の範囲では、 回双対をとると元へ戻ります。この性質を反射性と呼びます[3]。

p が無限大では崩れる

の双対は ではありません[4]。 の元では表せない汎関数が実際に作れます。

収束する数列の空間 の上で、極限をとる写像 を考えます。ノルムは です。

ハーン・バナッハの定理でこれを 全体へ延ばします。延ばした汎関数を と書きましょう。

もし があって と書けたとします。 を入れると です。

すべての で なので 。ところが では になり、矛盾します。

の中には相手が居ません。 の双対は、有限加法的な測度からなるもっと大きい空間になります[4]。

双対は でぴったり書ける。ノルムも保たれる

双対は をはみ出す。積分の形で書けない汎関数が残る

例:反射性の分かれ目

なら、 の双対は 、その双対はまた です。反射的というのはこの性質になります[3]。

は反射的ではありません。 まではよいものの、その双対が を超えるためです。

も反射的ではない。片道は行けても、往復では出発点に戻らない構造になっています。

の共役指数 はいくつですか。

__RESULT__

なので 、つまり です。 は の値そのもの、 は ととり違えた値になります。

例:ノルムを双対で測り直す

ヘルダーの不等式は、ノルムの別の書き方を与えます[1]。

を で として測ってみます。最大を与える は の定数倍です。

とすると で、積分は 。

これは そのものです。直接計算した値と一致しました。

検算

指数の組は をその場で確かめます。 なら で、。

不等式の向きも、簡単な数値で 1 度確かめると安心です。 なら左辺 、右辺は で等号。

等号が出たのは と が比例しているからです。等号条件が働いていることも同時に確かめられます。

つまずきやすいところ

の双対も だと考える。 以外では相手が変わります。
でも同じ形が成り立つとする。双対は より大きくなります。
共役指数を と書く。正しくは です。
有限性を忘れる。 の場合に効いてきます。
等号条件を だと思う。 と が比例する条件になります。
コーシー・シュワルツを別の定理だと思う。 の場合そのものです。
が反射的だと考える。双対をとって戻ると大きくなります。

指数を つ決めると相手が決まる。この対応を押さえておけば、双対空間の計算はほとんど機械的に進みます。

参考

Hölder's inequality - Wikipedia
Höldersche Ungleichung - Wikipedia
Lp-Raum - Wikipedia
Sequence space - Wikipedia
$\frac{1}{p} + \frac{1}{q} = 1$ で結ばれた指数どうしが、双対空間の相手になります。ヘルダーの不等式はヤングの不等式の面積図から出て、$g$ から $f = |g|^{q-1}\operatorname{sgn}(g)$ を作ると等号が実現し、$\|\Lambda_g\| = \|g\|_q$ まで届く。数列と積分での計算例、$c_0$ から $\ell^1$、$\ell^\infty$ と上がる階段、$p = \infty$ で双対が $L^1$ をはみ出す理由も見ます。極限をとる汎関数がその反例。