剰余環と準同型定理

剰余環は環をイデアルで「割った」構造であり、準同型定理は環準同型の像と剰余環を結びつける基本的な結果です。

剰余環の構成

を可換環、 のイデアルとします。 上の同値関係

で定めます。 の同値類を または と書き、商集合 に次の演算を入れます。

これらは代表元の取り方によらず well-defined であり、 は可換環となります。これを による剰余環といいます。

標準射影

自然な写像 で定めると、これは全射環準同型です。 が成り立ちます。

準同型定理(第一同型定理)

環準同型と剰余環を結びつける最も基本的な定理です。

準同型定理

を環準同型とする。このとき

が成り立つ。同型は で与えられる。

これは「準同型の核で割ると像と同型になる」という主張です。

対応定理

剰余環のイデアルは元の環のイデアルと対応します。

対応定理

のイデアルとする。 のイデアルと、 を含む のイデアルとの間に、次の1対1対応がある。

対応は および で与えられる。

この対応のもとで、素イデアルは素イデアルに、極大イデアルは極大イデアルに対応します。

第二・第三同型定理

第二同型定理

のイデアルとする。このとき

第三同型定理

のイデアルとする。このとき

具体例

は整数環を で割った剰余環であり、 個の元からなる環
は多項式環を既約多項式 で割ると体になる

剰余環の性質

の性質は の性質を反映します。

が整域 が素イデアル
が体 が極大イデアル