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English

中国剰余定理と互いに素なイデアル、剰余環が直積に分かれる条件

の元は、 で割った余りと で割った余りの組で決まります。 通りが の表にちょうど並ぶ。

これを可換環とイデアルの言葉に置きかえたものが、中国剰余定理です。

整数のとき

が互いに素なら、次の連立合同式の解が を法として 1 つに決まります。

写像で書き直すと、 が環の同型になるという主張です。

を外すと崩れる。この条件をイデアルの言葉へ移すところから始めます。

イデアルが互いに素とは

を可換環、 をイデアルとします。互いに素とは、和が環全体になることです[3]

と書ける、と言いかえられる。 が書けるかどうかだけを見ている。

では となり、 が同じ条件になります。イデアルの互いに素は、整数のそれをそのまま広げたもの。

最大公約数を持ち出さずに、和が全体かどうかだけで書ける。

主張

イデアル に対して、次の準同型を考えます[1]

単射と全射が、それぞれ別の条件で決まる[1]

単射になる条件

。核がちょうど交わりになるため。

全射になる条件

が 2 つずつ互いに素。 でいつも

2 つずつ互いに素なら、交わりと積も一致します[2]

で書き下すと、 のとき次の同型になる。

全射になるのは互いに素なときだけ

先に、互いに素なら全射になることを見る。 について )をとり、 と置きます[3]

を法として になり、積の を法として になる。一方 のどれにも入る。

つまり 。添え字をずらせば が同じようにとれて、 番目だけ になる。

あとは足し合わせるだけ。任意の に対して次のように置けば足ります。

逆向きも短く済む。 が全射なら へ移る があります[1]

から から が言える。

だから 。添え字を替えれば、どの 2 つについても同じことが言える。

核と、交わりが積になること

核は定義からすぐ分かります。 とは、 がどの にも入ることだからです[2]

準同型定理をあてると、全射のときに と直積が同型になる。

交わりが積に一致することも見ておきます。 で示せば、あとは帰納法です[3]

はいつでも成り立つ。逆は を使う。 を次のように割ります。

から から 。だから になる。

例:

とすると で、互いに素です。 の表の各ますに、 から がちょうど 1 つずつ入る。

同型写像は です。

逆向きに組み立てる

表を引かずに を求める手順も、証明がそのまま与えます。 で割って で割って になる を探す。

をとると 。この 2 つが目印になる。

で割ると で割ると
で割ると で割ると

欲しい余りを係数にして足すだけです。

で割ると で割ると 。欲しかった組になっています。

余りの組を替えても、 は使い回せる。係数だけ差しかえればよい。

互いに素でないと崩れる

へ分けようとすると、うまくいきません。 だからです。

写像の両方の成分が同じ になるため、像は対角線の 2 ますだけ。残りの 2 ますに移る元がありません。

多項式でも同じ。 だから、 と同型になりません。

は極大イデアルを 1 つしか持たない局所環で、直積のほうは 2 つ持つ。数が合わない。

冪でも互いに素のまま

なら、どの正の整数 についても です。

乗して展開する。

の項は に入ります。 の項は となり、 に入る。

右辺のどの項も に属し、 が言えます。これと中国剰余定理を合わせると、次の同型になる。

整数へ戻すと、 のときの にあたる。素因数分解ごとに分けられるという話です。

単元群も分かれる

同型は単元を単元へ写すため、単元群もそのまま分かれる。

にあてはめると、オイラー関数が積に分かれるという式になる。

未満で と互いに素な数を数えると、 個で合っています。

では 2 つに分かれる

なら です。 だから、 は交わらない 2 つの閉集合に分かれる。

直積環のスペクトルは非交和になる。環が分解することと、空間が離れることが同じ内容になっている。

幾何の側から読み直すこともできます[1]。多様体 の部分多様体 への制限写像を見ると、単射になるのは を覆うとき、全射になるのは がたがいに交わらないとき。

と同型になるのはどれですか。

__RESULT__

だから、 は互いに素です。 は互いに素ではないので使えません。3 つに分ける形は のところで崩れ、 が巡回群にならないぶん と食い違います。

のとき、 はどうなりますか。

  • になる
  • より真に小さくなる
  • 一般には決まらない
__RESULT__

乗して展開すると、 の次数が 以上の項は に入り、 未満の項は の次数が 以上になって に入ります。どの項も に属するので です。

イデアルの和が全体になるかどうか、それだけが分解の可否を決めます。整数の互いに素も、多項式の共通根がないことも、 の閉集合が交わらないことも、 の言いかえです。

参考

Andreas Gathmann, *Commutative Algebra*, RPTU Kaiserslautern-Landau.
Damian Rössler, *Commutative Algebra*, University of Oxford.
Nicolas Perrin, *Algèbre commutative*, Université de Versailles Saint-Quentin.
$\mathbb{Z}/15\mathbb{Z}$ の元は、$3$ で割った余りと $5$ で割った余りの組で決まります。イデアルの言葉に直すと、$I + J = R$ のとき $R/(I \cap J) \cong R/I \times R/J$。準同型が単射になるのは交わりが $(0)$ のとき、全射になるのは 2 つずつ互いに素なときで、逆も成り立つ。$a + b = 1$ の $a$ と $b$ を目印にすれば、連立合同式の解は係数を替えるだけで組み立てられます。$\mathbb{Z}/4\mathbb{Z}$ が $\mathbb{Z}/2\mathbb{Z} \times \mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$ に分かれない理由、冪をとっても互いに素のままであること、オイラー関数が積に分かれること、$\mathrm{Spec}$ が 2 つの閉集合に離れることまで。