完全列と蛇の補題

完全列はホモロジー代数の基本言語であり、蛇の補題は完全列を結ぶ射から新たな完全列を導く重要な道具です。

完全列の定義

-加群と準同型の列

が各点で完全であるとは、すべての が成り立つことをいいます。

短完全列

特に重要なのは短完全列です。

この列が完全であることは次と同値です。

は単射
は全射

すなわち、 であり です。

完全列の例

剰余加群

を部分加群とすると は完全。

核と余核

に対し は完全。ここで

蛇の補題

蛇の補題

可換図式

において、行が完全なら、接続準同型 が存在し、次の列が完全となる。

さらに上の行の左が完全( が単射)なら も単射。下の行の右が完全( が全射)なら も全射。

接続準同型の構成

は次のように構成されます。 に対し

が全射より となる をとる
より
となる をとる

この構成が代表元の取り方によらず well-defined であることが示せます。

蛇の補題の応用

長完全列

短完全列 と関手 に対し、蛇の補題を繰り返し適用することで導来関手の長完全列が得られる。

例えば の長完全列

5項補題

蛇の補題の系として、次の5項補題が得られます。

5項補題

可換図式で行が完全のとき

外側4つが同型なら、中央も同型。

分裂完全列

短完全列 が分裂するとは、 となることをいいます。

分裂の同値条件は

に切断 )が存在
に引き込み )が存在