PIDのKrull次元は高々1である

単項イデアル整域(PID)の Krull 次元が高々 であることを証明します。これは PID の構造を理解する上で基本的な結果です。

主張

定理

を単項イデアル整域とする。このとき

すなわち、 の素イデアルの真の包含列は高々 の形しかありません。

証明

が体の場合、素イデアルは のみなので です。以下、 は体でないとします。

でない素イデアルとします。 は PID なので と書けます。 より であり、 が素イデアルなので は素元です。

ここで が極大イデアルであることを示します。 となるイデアル をとります。 より となる が存在します。

は素元なので既約元です。 より が単元です。

が単元の場合: となり に矛盾
が単元の場合: は単元倍の関係にあり

よって となる は存在せず、 は極大イデアルです。

極大イデアルは素イデアルの包含関係で極大なので、 を真に含む素イデアルは存在しません。

したがって の素イデアルの列は

の形に限られ、 です。

証明のポイント

証明の核心は次の二点です。

PID における素元と既約元の一致

PID では素元と既約元が同値。これにより が素イデアルなら は既約元。

既約元が生成する単項イデアルは極大

が既約元のとき、 なら または

次元が の場合分け

が体の場合。素イデアルは のみ。

が体でない PID の場合。 と極大イデアル がある。

具体例での確認

素イデアルは は素数)。

は体)

素イデアルは は既約多項式)。

素イデアルは のみ。

逆は成り立たない

であっても が PID とは限りません。

反例

だが PID でない。 に対応するイデアルは単項でない。

UFD との比較

UFD は次元に制限がありません。たとえば は UFD ですが です。

PID

。イデアルがすべて単項という強い条件。

UFD

次元の制限なし。元の一意分解のみを要求。

PID UFD ですが、UFD PID です。PID は UFD の中でも次元が低い特別なクラスです。