忠実平坦性
忠実平坦性は平坦性を強めた概念であり、基底変換で完全列を保つだけでなく、完全列であることを「検出」できる性質です。
忠実平坦加群の定義
を可換環、 を -加群とします。 が忠実平坦であるとは、次の条件を満たすことをいいます。
二つ目の条件は「忠実性」を表し、テンソルして になるのは のときに限るという主張です。
同値条件
が平坦のとき、次は同値です。
三つ目の条件が忠実平坦性の本質で、「テンソルして完全なら元々完全」という検出性を表します。
忠実平坦性の例
自由加群
()は忠実平坦。 なので 。
体の拡大
が体の拡大なら は 上忠実平坦。
局所化(一般には忠実平坦でない)
は平坦だが、一般には忠実平坦でない。 となりうる( のとき)。
忠実平坦でない例
、 を考えます。 は 上平坦です(局所化だから)。しかし
なので忠実平坦ではありません。
忠実平坦な環準同型
環準同型 が忠実平坦であるとは、 が -加群として忠実平坦であることをいいます。
性質
が忠実平坦なら
- は単射
- 任意の -加群 に対し は単射
- イデアル に対し (イデアルが拡大縮約で戻る)
降下理論との関係
忠実平坦性は降下理論で重要です。忠実平坦な基底変換 において、 上の加群やその構造が 上に「降りてくる」ための条件を与えます。
平坦
基底変換で性質が保たれる(昇る)。
忠実平坦
基底変換で性質が保たれ、かつ検出できる(降りる)。
忠実平坦性の判定
二つ目は、局所環の間の平坦射は自動的に忠実平坦になるという重要な事実です。