Spec とザリスキ位相:素イデアルを点、イデアルを閉集合にする
の点は、、、、… という素数のイデアルと、 です。素イデアルを 1 つずつ点と呼び、その集合に位相を入れる。
イデアルが閉集合を決め、環準同型が連続写像を決めます。代数の言葉が、そのまま位相の言葉になる。
素イデアルを点と呼ぶ
可換環 の素イデアル全体の集合を と書きます[2]。
極大イデアルだけを集めるのではありません。 では も素イデアルで、これも点として数える。
でない環には極大イデアルがあり、極大イデアルは素です[2]。だから が空になるのは、零環のときだけ。
閉集合は
のイデアル について、 を含む素イデアルを集めます[1]。
この形の集合を閉集合と定めたものが、ザリスキ位相です。位相の公理を満たすことは、次の 3 つで確かめられます[1]。
。イデアルの側では積をとる。
。イデアルの側では和をとる。
、。
集合の和がイデアルの積に、集合の交わりがイデアルの和に移る。演算が入れかわる。
無限個の和は閉集合にならない
保証されているのは有限個の和までです。 で確かめます。
閉集合 は、 なら の素因数に当たる有限集合、 なら 全体になる。
閉点 、、、… を全部集めた集合は、この形に当てはまりません。素数すべてを含む をとると になり、 が全体になってしまう。
つまり閉点全体の閉包には が入る。無限個の閉点を寄せ集めても、閉集合にはならない。

は根基までしか区別しない
と は同じ閉集合を決める。 が素で なら、 から が言えるためです。
で と がどちらも になるのは、この理由。
代数的に閉じた体の上のアフィン多様体では、根基イデアルと閉集合がちょうど 1 対 1 に対応します[4]。 が根基までしか区別しないところは、 でも変わらない。
が空になるのは のときだけです[2]。真のイデアルは極大イデアルに含まれ、極大イデアルは素だから。
基本開集合
開集合は の補集合です。 1 つで決まるものを と書きます[1]。
の全体が位相の基底になる[1]。 の生成元を とすると、 は の和集合だからです。
も成り立つ。 が素だから、 と「 かつ 」が同じ条件になる。
が空になるのは、 がすべての素イデアルに入るとき。素イデアル全体の交わりは冪零元の集合で、 が冪零のときにあたります。
例:
を代数的に閉じた体とします。 は単項イデアル整域だから、素イデアルは と既約多項式の だけ。
代数閉体では既約多項式が の形しかなく、点は 2 種類になる。
| 閉点。 と 1 対 1 に対応する | |
| 閉包が全体になる点。ただ 1 つある |
は、 の根に当たる有限個の閉点を除いた全体です。空でない開集合は、どれも有限個を除く全部を含む。
空でない開集合がどの 2 つも交わるため、 は既約な空間になります。
例:
変数が 2 つになると、点が 3 段になります。
の閉包 には、その曲線の上にある閉点と 自身が入る。曲線 1 本ぶんの情報が、 では 1 つの点として置かれている。
座標環が代数閉体上のアフィン多様体のものなら、閉点は古典的な点に当たり、残りの素イデアルは既約な閉部分多様体に当たります[1]。

点の閉包
の閉包は です。 を含む閉集合 は を満たし、そのとき になるためです。
が閉点であることと、 が極大イデアルであることは同値になる[1]。
閉包が空間全体になる点を生成点といいます。整域なら がそれにあたる。
既約な閉集合 のほうも、 自身をその生成点として持つ。
分離できない 2 点がある
で と を分けようとします。 はどの空でない開集合にも入っている。
を含む開集合も空ではないため、2 つは必ず交わります。ハウスドルフになりません。
ただし ではある。 なら片方に入って他方に入らない がとれ、 が 2 点を分ける。
ハウスドルフだが、準コンパクトではない
ハウスドルフではないが、準コンパクトになる
有限集合だけを閉集合にすると、この 2 つが入れかわる[3]。
準コンパクト
はいつでも準コンパクトです[1]。証明は 1 つの等式で済む。
とすると、どの素イデアルも を全部は含みません。 たちが生成するイデアルは真のイデアルになれず、 そのものになる。
右辺に現れるのは有限個です。
もし がこの 個の のどれにも入らないなら が全部 に入り、 になってしまう。
だから 個で覆えます[1]。コンパクトと呼ばないのは、ハウスドルフ性を含めた語として使う流儀があるためです。
環準同型は連続写像を与える
に対し、 が写像 を決めます[1]。
素イデアルの引き戻しは素イデアルになる。 なら で、 が素だから片方が に入るためです。
を のイデアル、 を が の中で生成するイデアルとすると、次が成り立ちます[1]。
閉集合の逆像が閉集合になり、連続です。合成のほうは と、順序が逆になる[1]。
環の射と空間の射が逆向きに対応する。これが反変関手です。
全射なら閉集合を切りとる
が全射なら は単射で、像はちょうど になります[1]。
に当てると、 が と同じものになる。閉集合のほうが、別の環のスペクトルとして書き直せます。
局所化は逆に開集合を切りとる。 が と同じものになる。 を可逆にすると、 を含む素イデアルが消えるためです。

で はどれですか。
で が空になるのは、どんなときですか。
- のときだけ
- が冪零のとき
- が単元でないとき
が空とは、 がすべての素イデアルに入ることです。素イデアル全体の交わりは冪零元の集合だから、条件は が冪零であること。 はその特別な場合にあたります。
素イデアルを点に、イデアルを閉集合に、環準同型を連続写像に置きかえる。この 3 つの言いかえだけで、可換環の話がそのまま位相空間の話になります。













(12) を含む素イデアルは (2) と (3) だけです。V は根基までしか区別しないため、V((12)) と V((6)) が一致します。(12) 自身は素イデアルではなく、点になりません。