I-進位相と完備化

-進位相と完備化は、局所的な性質を詳しく調べるための道具である。形式的冪級数環が多項式環の完備化として得られるように、完備化は「無限次の情報」を扱う枠組みを提供する。

I-進位相の定義

を可換環、 のイデアルとする。 上の -進位相-adic topology)とは、 の基本近傍系とする位相である。

この位相において、点列 に収束するとは、任意の に対してある が存在し、 ならば となることをいう。

開集合

, )の形の集合が基本開集合をなす。

ハウスドルフ性

のとき、かつそのときに限り -進位相はハウスドルフ。

完備化の構成

-進完備化-adic completion) は、コーシー列の同値類として構成される。より具体的には

と射影極限で表せる。自然な写像 が存在し、 のとき単射となる。

には -進位相が入り、-進位相に関して完備である。

完備化前

で「切り詰めた」有限次の情報のみ。収束しない列が存在しうる。

完備化後

すべてのコーシー列が収束。無限次の極限操作が可能になる。

基本的な例

最も重要な例は、 の場合である。このとき

となり、形式的冪級数環が得られる。 という無限和が -進位相で収束するのである。

のとき、-進整数環となる。-進数論の基礎をなす重要な環だ。

完備化の性質

がネーター環で が真のイデアルならば、 もネーター環である。さらに 上平坦である。

局所環 -進完備化 も局所環となり、その極大イデアルは である。

平坦性

は平坦。したがって完備化は完全列を保つ。

忠実平坦性

が局所環のとき、 は忠実平坦。完備化で消える情報はない。

加群の完備化

-加群とするとき、-進完備化は

で定義される。 が有限生成ならば が成り立つ。これは完備化がテンソル積と可換であることを示している。