Gorenstein環

Gorenstein 環は Cohen-Macaulay 環の中でも特に良い双対性をもつ環であり、代数幾何学における標準束や特異点論で重要な役割を果たします。

Gorenstein 環の定義

次元ネーター局所環とします。 が Gorenstein 環であるとは、次の同値な条件のいずれかを満たすことをいいます。

は Cohen-Macaulay で、
の入射次元が有限(
は Cohen-Macaulay で、標準加群

Gorenstein 環の例

正則局所環

正則局所環は Gorenstein。射影次元 入射次元 次元。

完全交差

正則局所環の正則列によるイデアルでの剰余環は Gorenstein。例えば

0 次元 Gorenstein 環

は Gorenstein。

超曲面

は非零因子)は Gorenstein。

Gorenstein でない Cohen-Macaulay 環

次元 Cohen-Macaulay だが Gorenstein でない。socle の次元が より大きい。

socle と 0 次元の場合

次元局所環 の socle は です。

0 次元の特徴づけ

次元局所環 が Gorenstein

標準加群

Cohen-Macaulay 局所環 に対し、標準加群 は局所双対定理

を与える加群です( の入射包絡、 は局所コホモロジー)。

Gorenstein の特徴づけ

が Gorenstein (標準加群が自由)

Gorenstein 環の性質

Gorenstein 環は Cohen-Macaulay
が Gorenstein で が素イデアルなら も Gorenstein
が Gorenstein で が非零因子なら も Gorenstein
Gorenstein 環の多項式環・冪級数環も Gorenstein

入射次元と Gorenstein 性

Bass の定理

ネーター局所環 に対し

が Gorenstein

このとき

包含関係

環のクラスの包含関係は次のようになります。

完全交差

正則局所環 と正則列 に対し を完全交差という。完全交差は Gorenstein。

数値的 Gorenstein 条件

Gorenstein 環の Hilbert 級数は対称性をもちます。

対称性

を次数付き Gorenstein 環とすると、Hilbert 級数

を満たす(ある整数 に対し)。

この対称性は計算的に Gorenstein 性を判定する際に有用です。