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ユリウス=クラウディウス朝:養子と再婚でつないだ五代

ローマ最初の五人の皇帝は、一つの家から出た。ユリウス氏族とクラウディウス氏族が結びついた家である。ところが五代のうち、前の皇帝の実の息子が継いだ例は一度もない。すべて養子か、妻の連れ子か、甥だった。系図を引くと、血の足りないところを養子と再婚で埋め続けた跡が、そのまま形になって出てくる。

子のいない結婚から始まる

アウグストゥスは前の妻とのあいだに娘の大ユリアをもうけたきりで、男子に恵まれなかった。紀元前三八年にリウィアと結婚する。リウィアはクラウディウス氏族の家に嫁いでいた女性で、前夫とのあいだにティベリウス大ドルススの二人の息子がいた。

この結婚が二つの氏族を結びつけた。王朝の名はここから来ている。ところが二人のあいだに子は生まれなかった。

図で二人に婚姻の線を引いていないのは、そのためである。アウグストゥスの子は大ユリアだけ、リウィアの子はティベリウスと大ドルススだけで、共通の子がいない。以後の継承は、この二本の枝をどうつなぐかという作業になる。

候補が次々に死ぬ

アウグストゥスは娘の大ユリアを使った。まず妹の子マルケッルスと結婚させ、その死後は腹心のアグリッパと結婚させる。

アグリッパとのあいだに生まれたガイウスルキウスは、アウグストゥスの実の孫である。二人を養子にして跡継ぎに定めた。ところが西暦二年と四年に相次いで死んだ。

残る手は、妻の連れ子だった。西暦四年、アウグストゥスはティベリウスを養子にする。血はつながっていない。

継子が継ぐ

ティベリウスは、その前に大ユリアと再婚させられてもいた。前の妻と別れさせられての縁組で、本人は嫌がったと伝えられる。

アウグストゥスは養子縁組に条件も付けた。ティベリウス自身の子ではなく、弟の子のゲルマニクスを養子にして跡継ぎとせよ、という指定である。ゲルマニクスの妻の大アグリッピナは、アウグストゥスの孫娘だった。血の線を、二代先で自分の子孫へ戻そうとしたのである。

甥の子と、その叔父

ゲルマニクスは西暦十九年に死んだ。ティベリウスが三七年に没すると、ゲルマニクスの子のカリグラが立つ。アウグストゥスの曾孫にあたる。

カリグラが四一年に暗殺されると、近衛兵が担ぎ出したのはクラウディウスだった。ゲルマニクスの弟、つまりカリグラの叔父である。宮廷で軽んじられていた人物が、ほかに候補がいないという理由で皇帝になった。

姪と結婚する

クラウディウスは四九年、姪の小アグリッピナと結婚した。小アグリッピナはゲルマニクスの娘で、クラウディウスから見れば兄の子である。この結婚を通すためにローマの法を変えさせている。

小アグリッピナには前夫とのあいだの息子がいた。クラウディウスはこの子を養子にし、自分の娘オクタウィアと結婚させる。ネロである。

クラウディウスには実の息子のブリタンニクスがいた。それでも養子のネロが先に成人し、五四年にクラウディウスが没すると位に就いた。ブリタンニクスは翌年に死んでいる。

五代のつなぎ方

並べるとこうなる。

  • アウグストゥス — カエサルの姪の孫で、遺言による養子
  • ティベリウス — アウグストゥスの妻の連れ子で、のちに養子
  • カリグラ — ティベリウスの養子の子
  • クラウディウス — カリグラの叔父
  • ネロ — クラウディウスの姪の子で、養子であり娘婿

実の父から実の息子へ渡ったことが一度もない。ローマの養子縁組は成人を養子にできる制度で、財産と名と地位をまとめて渡せる。血が足りないところを、この制度が埋め続けた。

血は婚姻で戻していた

それでも一つの王朝と呼べたのは、婚姻が内側で閉じていたからである。ティベリウスは大ユリアと、ゲルマニクスは大アグリッピナと、ネロはオクタウィアと結婚した。いずれもアウグストゥスの血を引く女性である。

養子で名を渡し、婚姻で血を戻す。この二つを組み合わせることで、血のつながらない者が続いても、外から見れば一つの家として通った。

残ったのはリウィアの血だった

系図を母方までたどると、皮肉な形が出てくる。アウグストゥスのあとに立った四人は、全員がリウィアの子孫である。ティベリウスはその子、ゲルマニクスとクラウディウスは孫、カリグラとネロはさらにその先にあたる。

一方、アウグストゥス自身の血を引く皇帝はカリグラとネロの二人だけである。王朝に名を与え、制度を作り、後継を選び続けたのはアウグストゥスだった。それでも位を占め続けたのは、妻が連れてきた側の血だった。

候補が次々に死んだことについて、リウィアが自分の子を通すために毒を使ったという噂が古代から流れている。当否は確かめようがない。だが噂が立つこと自体、この継承が当時どう見えていたかを示している。

六八年

ネロは六八年に追い詰められて自殺した。子はいない。ユリウス氏族の血を引く者も、クラウディウス氏族の男子も残らなかった。

翌年は四人の皇帝が争う内乱になる。勝ったウェスパシアヌスは、両氏族とまったく縁のない家の出だった。ここではじめて、皇帝の位が血の外へ出た。

養子と婚姻でつないできた百年が終わったとき、次の皇帝を決めたのは軍団だった。