z を複素数とする。複素数平面上の 3 点 \mathrm{O}(0),\mathrm{A}(z),\mathrm{B}(z^2) について,以下の問いに答えよ。
(1) 3 点 \mathrm{O},\mathrm{A},\mathrm{B} が同一直線上にあるための z の必要十分条件を求めよ。
(2) 3 点 \mathrm{O},\mathrm{A},\mathrm{B} が二等辺三角形の頂点になるような z 全体を複素数平面上に図示せよ。
(3) 3 点 \mathrm{O},\mathrm{A},\mathrm{B} が二等辺三角形の頂点であり,かつ z の偏角 \theta が 0 \leqq \theta \leqq \dfrac{\pi}{3} を満たすとき,三角形 \mathrm{OAB} の面積の最大値とそのときの z の値を求めよ。
z = 0 なら 3 点はすべて原点に重なり、同一直線上にある。z \neq 0 なら \mathrm{A} は原点と異なり、\mathrm{B} が直線 \mathrm{OA} の上にあるのは \dfrac{z^2}{z} が実数のときです。
\dfrac{z^2}{z} = z だから、条件は z が実数であること。z = 0 もこの条件に含まれます。
3 点 0、1、z のそれぞれに z をかけると 0、z、z^2 となり、\mathrm{O}、\mathrm{A}、\mathrm{B} に移ります。z をかけることは、原点を中心とする回転と、原点からの距離を |z| 倍にすることを合わせたもの。
三角形 \mathrm{OAB} は 0、1、z を結ぶ三角形を回転し、大きさを |z| 倍にしたもので、2 つは相似です。辺の長さは 1、|z|、|z - 1| の |z| 倍になる。
二等辺三角形になるのは、1、|z|、|z - 1| のどれか 2 つが等しいとき。z が実数なら三角形ができないため、z は実数でない数に限ります。
|z| = 1 は原点を中心とする半径 1 の円、|z - 1| = 1 は点 1 を中心とする半径 1 の円です。
|z| = |z - 1| は 0 と 1 から等しい距離にある点の集まりで、実部が \dfrac{1}{2} の直線になる。
求める z 全体は、この 2 つの円と 1 本の直線から、実軸上の点 -1、0、\dfrac{1}{2}、1、2 を除いたものです。
|z| = r とおきます。0、1、z を結ぶ三角形の面積は \dfrac{1}{2} \cdot 1 \cdot r\sin\theta。z をかけると辺の長さがどれも r 倍になるため、三角形 \mathrm{OAB} の面積はその r^2 倍の \dfrac{1}{2}r^3\sin\theta です。
\theta = 0 では z が実数になって三角形ができないため、0 < \theta \leqq \dfrac{\pi}{3} で考える。r は、z が (2) のどの線の上にあるかで決まります。
円 |z| = 1 の上では r = 1 で、面積 \dfrac{1}{2}\sin\theta の最大値は \theta = \dfrac{\pi}{3} のときの \dfrac{\sqrt{3}}{4}。
直線の上では r\cos\theta = \dfrac{1}{2} だから、面積は \dfrac{1}{2} \cdot \dfrac{\sin\theta}{8\cos^3\theta} です。\theta が大きいほど \sin\theta は大きく \cos\theta は小さいため、\theta = \dfrac{\pi}{3} で最大の \dfrac{\sqrt{3}}{4} をとる。
点 1 を中心とする半径 1 の円は、0 と 2 を直径の両端とする円です。z がこの円の上にあると、0、z、2 を結ぶ三角形は z の角が直角になる。斜辺の長さは 2、0 の角は \theta だから、r = 2\cos\theta。
面積は \theta の関数として次のように表せる。
f(\theta) = \dfrac{1}{2}(2\cos\theta)^3\sin\theta = 4\cos^3\theta\sin\theta
積の微分を使うと、導関数は次のようになります。
f'(\theta) = 4(-3\cos^2\theta\sin^2\theta + \cos^4\theta)
= 4\cos^2\theta(1 - 4\sin^2\theta)
0 < \theta \leqq \dfrac{\pi}{3} では \cos^2\theta > 0 で、符号は 1 - 4\sin^2\theta が決める。\theta = \dfrac{\pi}{6} を境に正から負へ変わり、そこで最大になります。
\cos\dfrac{\pi}{6} = \dfrac{\sqrt{3}}{2}、\sin\dfrac{\pi}{6} = \dfrac{1}{2} だから f\left(\dfrac{\pi}{6}\right) = \dfrac{3\sqrt{3}}{4} で、ほかの 2 つの線での最大値 \dfrac{\sqrt{3}}{4} より大きい。
面積の最大値は \dfrac{3\sqrt{3}}{4} です。このとき r = 2\cos\dfrac{\pi}{6} = \sqrt{3} で、z は次の値になる。
z = \sqrt{3}\left(\cos\dfrac{\pi}{6} + i\sin\dfrac{\pi}{6}\right)
= \dfrac{3}{2} + \dfrac{\sqrt{3}}{2}i