東北大学理系 2022 年・第 5 問

座標空間内において,ベクトル \vec{a} = (1, 2, 1),\vec{b} = (1, 1, -1),\vec{c} = (0, 0, 1) が定める 2 直線 l : s\vec{a},l' : t\vec{b} + \vec{c} (s, t は実数) を考える。点 \mathrm{A}_1 を原点 (0, 0, 0) とし,点 \mathrm{A}_1 から直線 l' に下ろした垂線を \mathrm{A}_1\mathrm{B}_1 とおく。次に,点 \mathrm{B}_1(t_1\vec{b} + \vec{c}) から直線 l に下ろした垂線を \mathrm{B}_1\mathrm{A}_2 とおく。同様に,点 \mathrm{A}_k(s_k\vec{a}) から直線 l' に下ろした垂線を \mathrm{A}_k\mathrm{B}_k,点 \mathrm{B}_k(t_k\vec{b} + \vec{c}) から直線 l に下ろした垂線を \mathrm{B}_k\mathrm{A}_{k+1} とする手順を繰り返して,点 \mathrm{A}_n(s_n\vec{a}),\mathrm{B}_n(t_n\vec{b} + \vec{c}) (n は正の整数) を定める。

(1) s_n を用いて s_{n+1} を表せ。

(2) 極限値 S = \displaystyle\lim_{n \to \infty} s_n,T = \displaystyle\lim_{n \to \infty} t_n を求めよ。

(3) (2) で求めた S,T に対して,点 \mathrm{A},\mathrm{B} をそれぞれ \mathrm{A}(S\vec{a}),\mathrm{B}(T\vec{b} + \vec{c}) とおくと,直線 \mathrm{AB} は 2 直線 l,l' の両方と直交することを示せ。

使う内積を先に求める

垂線の足は内積が 0 になる条件で決まるため、あとで使う内積を先に求めておきます。

|\vec{a}|^2 = 6、|\vec{b}|^2 = 3、\vec{a} \cdot \vec{b} = 2

\vec{a} \cdot \vec{c} = 1、\vec{b} \cdot \vec{c} = -1

図は 2 直線がどちらも横向きに見える向きから眺めたもので、下は原点を通る l、上は点 (0, 0, 1) を通る l'。少し傾けると平行でないことがわかり、2 直線は交わらないねじれの位置にあります。

(1) \mathrm{A}_k から l' へ垂線を下ろす

\mathrm{B}_k は l' 上の点 t_k\vec{b} + \vec{c} で、\mathrm{A}_k から \mathrm{B}_k へ向かうベクトルは l' の向き \vec{b} と垂直です。

(t_k\vec{b} + \vec{c} - s_k\vec{a}) \cdot \vec{b} = 0

展開すると t_k|\vec{b}|^2 + \vec{b} \cdot \vec{c} - s_k\vec{a} \cdot \vec{b} = 0 で、先に求めた値から 3t_k - 1 - 2s_k = 0。t_k は s_k で決まります。

t_k = \dfrac{2s_k + 1}{3}

\mathrm{A}_1 は原点で s_1 = 0 だから t_1 = \dfrac{1}{3} で、\mathrm{B}_1 の座標は \left(\dfrac{1}{3}, \dfrac{1}{3}, \dfrac{2}{3}\right) です。

(1) \mathrm{B}_k から l へ垂線を下ろす

\mathrm{A}_{k+1} は l 上の点 s_{k+1}\vec{a} で、\mathrm{B}_k から \mathrm{A}_{k+1} へ向かうベクトルは \vec{a} と垂直になる。

(s_{k+1}\vec{a} - t_k\vec{b} - \vec{c}) \cdot \vec{a} = 0

展開すると s_{k+1}|\vec{a}|^2 - t_k\vec{a} \cdot \vec{b} - \vec{a} \cdot \vec{c} = 0 で、値を使うと 6s_{k+1} - 2t_k - 1 = 0 から s_{k+1} = \dfrac{2t_k + 1}{6}。ここに前の場面の t_k を代入します。

s_{k+1} = \dfrac{1}{6}\left(\dfrac{2(2s_k + 1)}{3} + 1\right)

右辺を整理すると \dfrac{4s_k + 5}{18} で、k を n と書けば、求める関係は s_{n+1} = \dfrac{2}{9}s_n + \dfrac{5}{18}。

(2) 漸化式を解いて極限を求める

x = \dfrac{2}{9}x + \dfrac{5}{18} を満たす x は \dfrac{5}{14} です。漸化式からこの式を引くと、s_n と \dfrac{5}{14} の差は 1 回ごとに \dfrac{2}{9} 倍になる。

s_{n+1} - \dfrac{5}{14} = \dfrac{2}{9}\left(s_n - \dfrac{5}{14}\right)

s_1 = 0 から s_n = \dfrac{5}{14} - \dfrac{5}{14}\left(\dfrac{2}{9}\right)^{n - 1} で、\left(\dfrac{2}{9}\right)^{n - 1} \to 0 だから S = \dfrac{5}{14}。

t_n = \dfrac{2s_n + 1}{3} も n \to \infty で \dfrac{1}{3}\left(\dfrac{5}{7} + 1\right) に近づき、T = \dfrac{4}{7} です。

図は \mathrm{A}_1 から順に垂線をたどったもので、\mathrm{A}_n は l 上の 1 点へ、\mathrm{B}_n は l' 上の 1 点へ近づいていく。

(3) \vec{\mathrm{AB}} は \vec{a} とも \vec{b} とも垂直

\mathrm{A} の位置ベクトルは \dfrac{5}{14}(1, 2, 1)、\mathrm{B} の位置ベクトルは \dfrac{4}{7}(1, 1, -1) + (0, 0, 1) = \dfrac{1}{14}(8, 8, 6)。差をとると次のベクトルになります。

\vec{\mathrm{AB}} = \dfrac{1}{14}(3, -2, 1)

\vec{\mathrm{AB}} \cdot \vec{a} = \dfrac{3 - 4 + 1}{14} = 0、\vec{\mathrm{AB}} \cdot \vec{b} = \dfrac{3 - 2 - 1}{14} = 0

\vec{\mathrm{AB}} は \vec{0} でなく、l の向きとも l' の向きとも垂直。直線 \mathrm{AB} は l と点 \mathrm{A} で、l' と点 \mathrm{B} で交わるため、2 直線の両方と直交します。

極限をとる前の 2 つの式からも同じことがわかる。t_n = \dfrac{2s_n + 1}{3} と s_{n+1} = \dfrac{2t_n + 1}{6} で n \to \infty とすると、3T - 1 - 2S = 0 と 6S - 2T - 1 = 0 になります。

この 2 つは、\vec{\mathrm{AB}} \cdot \vec{b} = 0 と \vec{\mathrm{AB}} \cdot \vec{a} = 0 を展開した式と同じ形です。

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