東北大学理系 2024 年・第 3 問

n を 2 以上の整数とする。それぞれ \mathrm{A}, \mathrm{A}, \mathrm{B} と書かれた 3 枚のカードから無作為に 1 枚抜き出し,カードをもとに戻す試行を考える。この試行を n 回繰り返し,抜き出したカードの文字を順に左から右に並べ,n 文字の文字列を作る。作った文字列内に \mathrm{AAA} の並びがある場合は不可とする。また,作った文字列内に \mathrm{BB} の並びがある場合も不可とする。これらの場合以外は可とする。たとえば,n = 6 のとき,文字列 \mathrm{AAAABA} や \mathrm{ABBBAA} や \mathrm{ABBABB} や \mathrm{BBBAAA} などは不可で,文字列 \mathrm{BABAAB} や \mathrm{BABABA} などは可である。作った文字列が可でかつ右端の 2 文字が \mathrm{AA} である確率を p_n,作った文字列が可でかつ右端の 2 文字が \mathrm{BA} である確率を q_n,作った文字列が可でかつ右端の文字が \mathrm{B} である確率を r_n とそれぞれおく。

(1) p_2,q_2,r_2 をそれぞれ求めよ。また,p_{n+1},q_{n+1},r_{n+1} を p_n,q_n,r_n を用いてそれぞれ表せ。

(2) p_n + 2q_n + 2r_n を n を用いて表せ。

(3) p_n + iq_n - (1 + i)r_n を n を用いて表せ。ただし,i は虚数単位である。

(4) p_n = r_n を満たすための,n の必要十分条件を求めよ。

右端の形で 3 つに分ける

n \geqq 2 のとき、可の文字列の右端は \mathrm{AA}、\mathrm{BA}、\mathrm{B} のどれかです。

1 文字加えて不可になるのは、右端の \mathrm{AA} に \mathrm{A} がついて \mathrm{AAA} ができるときと、右端の \mathrm{B} に \mathrm{B} がついて \mathrm{BB} ができるときだけ。ほかの場合は可のままで、右端の形が変わる。

\mathrm{AA} に \mathrm{B} がつくと右端は \mathrm{B}。\mathrm{BA} に \mathrm{A} がつくと \mathrm{AA}、\mathrm{B} がつくと \mathrm{B}。\mathrm{B} に \mathrm{A} がつくと \mathrm{BA} になります。

\mathrm{A} を引く確率は \dfrac{2}{3}、\mathrm{B} を引く確率は \dfrac{1}{3} で、どの回も前の結果によらない。

n = 2 の確率と漸化式

2 文字の並びは \mathrm{AA}、\mathrm{AB}、\mathrm{BA}、\mathrm{BB} の 4 通りで、不可は \mathrm{BB} だけ。

p_2 = \left(\dfrac{2}{3}\right)^2 = \dfrac{4}{9}

q_2 = r_2 = \dfrac{1}{3} \cdot \dfrac{2}{3} = \dfrac{2}{9}

右端の \mathrm{AA} へ移るのは \mathrm{BA} からだけ、\mathrm{BA} へ移るのは \mathrm{B} からだけです。\mathrm{B} へは \mathrm{AA} と \mathrm{BA} の両方から移る。それぞれに引く文字の確率を掛けると、(1) の漸化式は次の 3 式になる。

p_{n+1} = \dfrac{2}{3}q_n

q_{n+1} = \dfrac{2}{3}r_n

r_{n+1} = \dfrac{1}{3}p_n + \dfrac{1}{3}q_n

p_n + 2q_n + 2r_n は 1 回ごとに \dfrac{2}{3} 倍

漸化式を代入すると、n + 1 のときの値は n のときの値の \dfrac{2}{3} 倍になる。

p_{n+1} + 2q_{n+1} + 2r_{n+1} = \dfrac{2}{3}p_n + \dfrac{4}{3}q_n + \dfrac{4}{3}r_n

= \dfrac{2}{3}(p_n + 2q_n + 2r_n)

n = 2 では \dfrac{4}{9} + \dfrac{4}{9} + \dfrac{4}{9} = \dfrac{4}{3}。公比 \dfrac{2}{3} の等比数列だから、(2) の答えは次の式です。

p_n + 2q_n + 2r_n = \dfrac{4}{3}\left(\dfrac{2}{3}\right)^{n-2} = 3\left(\dfrac{2}{3}\right)^n

(3) の式は 1 回ごとに -\dfrac{1 + i}{3} 倍

(3) の式にも漸化式を代入する。

p_{n+1} + iq_{n+1} - (1 + i)r_{n+1}

= -\dfrac{1 + i}{3}p_n + \dfrac{1 - i}{3}q_n + \dfrac{2i}{3}r_n

-\dfrac{1 + i}{3} に i を掛けると \dfrac{1 - i}{3}、-(1 + i) を掛けると \dfrac{2i}{3}。右辺は p_n + iq_n - (1 + i)r_n の -\dfrac{1 + i}{3} 倍です。

n = 2 の値は \dfrac{4}{9} + \dfrac{2}{9}i - (1 + i) \cdot \dfrac{2}{9} = \dfrac{2}{9}。(3) の答えは次の式になる。

p_n + iq_n - (1 + i)r_n = \dfrac{2}{9}\left(-\dfrac{1 + i}{3}\right)^{n-2}

p_n = r_n となるのは n が 4 の倍数のとき

(3) の式を実部と虚部に分けると (p_n - r_n) + (q_n - r_n)i。p_n = r_n は、この値の実部が 0 になることと同じです。

-(1 + i) の絶対値は \sqrt{2}、偏角は \dfrac{5}{4}\pi。\dfrac{2}{9} は正の数だから、(3) の値の偏角は \dfrac{5}{4}\pi(n - 2) になる。

実部が 0 になるのは偏角が \dfrac{\pi}{2} の奇数倍のときで、k を整数として 5(n - 2) = 2(2k + 1) と書ける。

右辺は偶数だから n - 2 も偶数で、n - 2 = 2m とおくと 5m = 2k + 1。これを満たす整数 k があるのは、m が奇数のときです。

n - 2 は 4 で割ると 2 余る数になり、(4) の答えは、n が 4 の倍数であること。

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