y=arccotx 逆余接 y=arccotx
arccotx(逆余接)は、余接 cotx=sinxcosx の逆関数です1。逆三角関数のなかで唯一、主値の取り方が二通りに割れている関数でもあります。ここでは値域を (0,π) にとる流儀を採り、次の式で描いています。
arccotx=2π−arctanx 定義域と値域
定義域は実数全体です。cot は区間 (0,π) を実数全体へ単調に写すので、その逆関数はすべての実数を受けて (0,π) の値を返します。arctan の値域が (−2π,2π) ですから、2π から引けばちょうど (0,π) に収まります。
増減と漸近線
導関数は arctan の導関数と符号だけが違います。
dxdarccotx=−1+x21 つねに負ですから実数全体で単調に減少し、極値はありません。
| x | arccotx |
|---|
| →−∞ | →π |
| −1 | 43π |
| 0 | 2π |
| 1 | 4π |
| →+∞ | →0 |
直線 y=π と y=0 が水平漸近線です。
対称性と凹凸
点 (0,2π) に関して点対称です。arctan が原点に関して点対称であることを、上下反転して 2π だけ持ち上げた結果です。
二階導関数は (1+x2)22x で符号は x と同じですから、x<0 で上に凸、x>0 で下に凸となり、変曲点はこの対称の中心ただ一つです。
二つの流儀
| 流儀 | 式 | 値域 | 連続性 |
|---|
| 主値を (0,π) にとる | 2π−arctanx | (0,π) | 実数全体で連続 |
| 逆数を通す | arctanx1 | 0 を除く (−2π,2π) | 原点で π だけ跳ぶ |
二つの定義は x>0 では一致し、x<0 ではちょうど π だけ食い違います。多くの計算ソフトや数式処理系は後者を採っており、このサイトの数式エンジンもそうです。実際、数式欄に acot(x) と入力すると、この記事のグラフではなく原点で跳ぶほうの曲線が描かれます。
どちらを選ぶか
連続で単調な関数が欲しい場面、たとえば積分の原始関数として次のように書きたいときには (0,π) の流儀が便利です。
∫1+x2dx=−arccotx+C 一方、他の逆三角関数と同じく逆数を通して定義したい場面や、arctan から機械的に計算したい場面では arctanx1 が扱いやすくなります。arccot が出てきたら値域がどちらかを確かめるのが安全です。
逆三角関数の完成
これで六つの逆三角関数がすべてそろいました。三つの対がそれぞれ和で 2π を作るという、整った構造をもっています。
| 対 | 関係式 |
|---|
| arcsin と arccos | arcsinx+arccosx=2π |
| arctan と arccot | arctanx+arccotx=2π |
| arcsec と arccsc | arcsecx+arccscx=2π |
- Inverse trigonometric functions、Wikipedia