y=Φ(x)=12(1+erfx2)y = \Phi(x) = \dfrac{1}{2}\left(1 + \operatorname{erf}\dfrac{x}{\sqrt{2}}\right)

標準正規分布の分布関数 y=Φ(x)y = \Phi(x) のグラフ

y=Φ(x)y = \Phi(x) は、標準正規分布の分布関数です1。標準正規分布に従う確率変数が xx 以下になる確率を表します。

Φ(x)=x12πet2/2dt\Phi(x) = \int_{-\infty}^{x} \frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-t^2/2}\,dt

誤差関数 erf\operatorname{erf} を使うと、次のようにも書けます。

Φ(x)=12(1+erfx2)\Phi(x) = \frac{1}{2}\left(1 + \operatorname{erf}\frac{x}{\sqrt{2}}\right)

2\sqrt{2} が現れるのは、erf\operatorname{erf}et2e^{-t^2} を、正規分布が et2/2e^{-t^2/2} を使うという定義の違いによるものです。

定義域と値域

  • 定義域はすべての実数
  • 値域は開区間 (0,1)(0, 1)
  • 単調に増加する
  • y=0y = 0y=1y = 1 が水平漸近線

確率なので 0011 のあいだに収まり、どちらにも到達しません。

対称性

標準正規分布の密度が偶関数であることから Φ(x)=1Φ(x)\Phi(-x) = 1 - \Phi(x) が成り立ちます。したがってグラフは点 (0,12)\left(0, \dfrac{1}{2}\right) に関して点対称です。

増減と凹凸

導関数は密度関数そのものです。

φ(x)=12πex2/2\varphi(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-x^2/2}

つねに正なので単調に増加し、極値はありません。傾きが最大になるのは原点で、その値は 12π0.399\dfrac{1}{\sqrt{2\pi}} \approx 0.399 です。二階導関数は xφ(x)-x\varphi(x)x=0x = 0 の前後で符号が変わるので、変曲点は (0,12)\left(0, \dfrac{1}{2}\right) ただ一つです。

初等関数では書けない

et2/2e^{-t^2/2} の原始関数は初等関数の範囲に存在しません。だからこそ Φ\Phi には独立した記号が与えられ、かつては数表が、いまは数値計算のルーチンが用意されています。erf\operatorname{erf} を使った表示も、初等関数へ帰着させたのではなく、別の特殊関数へ言い換えただけです。

覚えておく値

xxΦ(x)\Phi(x)対応する範囲の確率
110.8413\approx 0.841368.27%68.27\%
1.6451.6450.9500\approx 0.9500片側 5%5\% の臨界値
1.9601.9600.9750\approx 0.9750両側 95%95\% 信頼区間
220.9772\approx 0.977295.45%95.45\%
330.99865\approx 0.9986599.73%99.73\%

右端の列は、対称性と合わせて平均から標準偏差何個ぶんの範囲に入る確率を示したものです。いわゆる 6868959599.799.7 の法則になっています2

ロジスティック関数との比較

ロジスティック関数 11+ex\dfrac{1}{1 + e^{-x}} も似た S 字を描きます。傾きをそろえて 11+e1.702x\dfrac{1}{1 + e^{-1.702x}} とすると Φ(x)\Phi(x) との差は最大でも 0.00950.0095 ほどしかなく、グラフはほとんど重なります。統計でプロビット回帰とロジスティック回帰の結果がよく似るのは、この一致が理由です。

応用

中心極限定理により、独立な確率変数の和の分布は条件がそろえば正規分布に近づきます。そのため Φ\Phi は統計のあらゆる場面で現れます。

  • pp 値の計算
  • 信頼区間の構成
  • 品質管理の管理限界

逆関数 Φ1\Phi^{-1} はプロビットと呼ばれ、確率を実数全体へ引き伸ばす連結関数として使われます。

  1. Normal distribution、Wikipedia
  2. 68-95-99.7 rule、Wikipedia