y=x+sinx 関数 y=x+sinx のグラフ
y=x+sinx は、直線に波を重ねた関数です。導関数が 0 になる点をもちながら極値をひとつももたない例として、微分の学習でよく取り上げられます。
定義域と対称性
定義域も値域もすべての実数です。f(−x)=−x−sinx=−f(x) より奇関数で、グラフは原点に関して点対称です。
増減
導関数は次のとおりです。
y′=1+cosx cosx≥−1 なのでつねに y′≥0 となり、この関数は単調に増加します。y′=0 となるのは cosx=−1、すなわち x=(2n+1)π のときですが、それは孤立した点なので増加は止まりません。
導関数が 0 でも極値とはかぎらないことを、この関数ははっきり示しています。x=π の前後でも値は増え続け、接線だけが一瞬だけ水平になります。
変曲点
二階導関数は y′′=−sinx で、x=nπ ごとに符号が変わります。したがって変曲点は x=nπ にあり、そこでの値は y=nπ+sinnπ=nπ です。つまりすべての変曲点 (nπ,nπ) が直線 y=x の上に並びます。
π の奇数倍では接線が水平になり、偶数倍では接線の傾きが 2 になるので、水平な変曲点と傾いた変曲点が交互に現れます。
通る点
| x | y | 接線の傾き |
|---|
| 0 | 0 | 2 |
| 2π | 2π+1 | 1 |
| π | π | 0 |
| 23π | 23π−1 | 1 |
| 2π | 2π | 2 |
整数 n に対して x=nπ の点はすべて (nπ,nπ) になります。
直線 y=x との関係
y−x=sinx ですから、グラフは直線 y=x のまわりを振幅 1 で上下しながら進み、x=nπ ごとにこの直線と交わります。
ただし差が 0 に収束しないので、y=x は漸近線ではありません。あくまで振動の中心線です。y=x+x1 のように差が消えていく斜め漸近線との違いが、はっきり見える例になっています。
逆関数
連続で狭義単調増加、しかも値域が実数全体ですから、逆関数が実数全体で定義されます。ただし y′=0 となる x=(2n+1)π に対応する点では、逆関数のグラフの接線が垂直になります。
関連する曲線
符号を変えた y=x−sinx は、この曲線を平行移動しただけの同じ形です。そちらはサイクロイドの x 座標として現れます1。
xy=a(t−sint)=a(1−cost) 応用
ケプラー方程式 M=E−esinE は、離心率 e が 1 に近い軌道でちょうどこの形に近づきます2。天体の位置を時刻から求めるには、単調でありながら傾きが 0 になる点をもつこの関数を数値的に解くことになり、そこが計算上の難所として知られています。
- Cycloid、Wikipedia
- Kepler's equation、Wikipedia